Ag基板上にAl2O3超薄膜を形成した薄膜干渉型ナノ構造基板では,蛍光が100倍以上増強する。蛍光増強は主にAl2O3層内での光学干渉により起きることが示唆されており,薄膜干渉型ナノ構造基板では光学干渉によりラマン散乱光も増強すると予想される。そこで,本研究では薄膜干渉型ナノ構造基板を用いた腫瘍マーカーの高感度ラマン分光バイオセンシングを目的とした。薄膜干渉型ナノ構造基板での蛍光増強は励起光と蛍光両方の光学干渉が重要であることを突き止めた。また,薄膜干渉型ナノ構造基板で腫瘍マーカーを検出したところ,60倍以上の蛍光増強を達成した。さらに,ラマン分光検出でも50倍以上の増強を達成した。
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