昨年度、電子カルテを導入している一病院の看護師に実施したアンケート調査の結果の分析を行った。アンケート調査の結果、調査対象の看護師は10代~60代の看護師から回答を得た。調査対象の施設には電子カルテは2002年に導入されており、幅広い年代の看護師が電子カルテを使用した業務を経験している。これらの看護師からの調査結果より、電子カルテに期待することでは、操作の簡便さや、情報共有の簡便さなどハード面の充実、ソフト面の充実が求められていることが明らかになった。さらに情報共有の簡便さについてはハード面、ソフト面の充実だけではなく、どのように情報共有を行うか、さらには、他職種との連携のあり方など情報共有における電子カルテの運用方法の見直しも必要性も考えられた。SUS、WUSを用いたユーザビリティに関する調査についてはハード面の問題から出ていると考えられる結果が見られた。 昨年度行ったアンケート結果をもとに再検討した調査項目で本調査を行った。本調査は電子カルテを導入している医療施設での勤務経験をもつ看護師すべてを調査対象とし、全国の看護師500名より回答を得た。ユーザビリティに関しては、昨年度の調査結果と比較すると大きな差が見られる結果もあり、導入されている電子カルテの導入年次により機能が異なる可能性があると考えられる。 しかし、本調査、昨年度の一病院の調査ともに電子カルテに関するイメージや期待することが、電子カルテが持つ機能ではないものの意見も多くみられた。このことから、看護師が持つ電子カルテのイメージモデルが電子カルテの機能が豊富になっても実現不可能なものが多かった。そのため、ユーザビリティの評価以前に、看護師に電子カルテで実現可能なもの、業務の見直しなどで改善すべきことの理解を深めることが必要なのではないかと考える。
|