1.TRPA1活性を持つ漢方薬含有化合物のスクリーニングを行った。前年度の研究に続いて、TRPA1発現の細胞評価系を用いて、細胞内カルシウムアッセイを行った。また、TRPA1の選択的阻害剤であるHC030031を用いて生薬成分のターゲット分子を確かめた。 2.生薬成分のEC50またはIC50を求めた。1)まず、細胞内カルシウム変化を指標とし、前年度と今年度の実験でTRPA1刺激効果が見られた化合物のEC50を求めた。報告されたTRPA1アゴニストであるAITC(allyl isothiocyanate)のEC50と比較した。いずれも弱い活性が認められた。2)TRPA1チャネルに対する脱感作効果の有無を確認した。抑制効果の確認はAITC単独投与時の反応に比べて評価した。その上、IC50を求めた。四種類の化合物がTRPA1チャネルに対する脱感作効果が確認された。3)カルシウムイメージング(Fura 2)法を用いて、培養した脊髄後根神経細胞(DRGニューロン)における化合物のTRPA1活性を評価した。HC030031を用いて化合物のTRPA1チャネル選択性を確認した。4)ホールセールパッチクランプ法で、TRPA1チャネルに対する化合物の電気生理的な特性を調べた。細胞内カルシウムアッセイの実験データと一致して、脱感作効果が確認された。 3.疼痛動物モデルを用いて化合物の鎮痛効果を検討した。1)動物の自発痛に対する効果を検討した。2)AITC刺激に誘起される疼痛行動に対する鎮痛効果を検討した。具体的に、TRPA1刺激効果が確認された低容量(痛みを誘発しない濃度)の化合物を、実験動物の足裏に注射し、AITCの誘発痛に対する抑制効果を調べた。 (特許申請や論文作成の関係上、生薬名や化合物名を公表していない)
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