研究実績の概要 |
モンゴルゴビ砂漠に分布する上部白亜系からは数多くの恐竜化石が産出する。近年、違法発掘による盗掘化石標本が、モンゴル政府によって多数押収・保管されており、これらの研究・教育への活用が模索されている。本研究では、地層中に含まれる石英粒子のカソードルミネッセンス(以下CL)特性に注目し、石英粒子の鉱物化学的特性を用いた、地層および産出地の特徴化を試みる。 今回用いるCL分析では、石英内部に含まれる不純物(構造欠陥)を鋭敏に感知できる。これまでの研究により、石英粒子のCL分析により感知できるFe, Al, Ti, NBOHの存在に注目し、得られた光学スペクトルより発光中心を波形分離し、スペクトルの面積比を得ることで、石英を粒子毎に特徴化する。これらを定量的解析(クラスター分析や主成分分析)することで、石英粒子を供給した後背地特性を反映した地層および産地の特徴解析を実施する。 本研究では、風成層から構成されるDjadokhta層を解析の対象とした。Djadokhta層は、主に風成層から構成され、さらに恐竜化石を数多く産出している。ここでは、化石を産出する主な産地4地点(Tugrikin Shireh, Alag Teg, Bayn Dzak, Udyn Sayr)を比較することで、産地間および地層の対比に有効な石英粒子の物理化学的特性を定量的に明らかにする。野外にて採取される石英粒子と、盗掘化石より採取される石英粒子の鉱物特性を直接比較することで、盗掘化石の学術的価値の再生を目指す。
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