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2017 年度 実績報告書

汚染恐怖の病態理解に向けた嫌悪的な触質感の感性的質感認知研究

研究課題

研究課題/領域番号 15K21543
研究機関就実大学

研究代表者

岩佐 和典  就実大学, 教育学部, 准教授 (00610031)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード汚染恐怖 / 嫌悪感 / 質感 / 心理物理
研究実績の概要

H29年度には,濡れ質感と嫌悪感情との関係を検討した。含水量を定量化したdoughの画像を刺激とした感性評価実験により,濡れ感,ヌメリ,ベタツキといった質感の評価値とともに,嫌悪感,回避動機,汚染リスク推定などの認知・感情的な評価値を得た(n = 20)。この結果について,認知・感情的な変数を予測する要因について解析した。まず,濡れ質感をxとした場合には,すべて逆U字型の二次曲線に近似していた。これは,水分量が中程度である場合に,最も嫌悪的と認識されることを示したものであった。そこで,それに対応する質感評価項目であるヌメリとベタツキを説明変数とした重回帰分析を行ったところ,接触回避や汚染リスク推定といった接触を前提とした評価値については,特にヌメリが良く予測していた。ここから,水分を含む刺激に対する嫌悪反応は,対象のヌメリ感によって影響を受けていることが示された。また,含水量とベタツキおよびヌメリの関係は逆U字型の二次曲線に近似しており,それぞれピークがやや異なっていた。一方,それらの質感と高輝度領域個数の関係について,ベタツキでは同じく逆U字型の二次曲線に近似したが,ヌメリについてはヌメリについては予測の精度が比較的低かった。このことから,ヌメリについては他の光学的要因や,トップダウン過程に含まれる認知的要因が影響するものと考えられた。これに加えて,嫌悪感受性と感染脆弱性を用いて個人差を検討したところ,嫌悪感受性の高い者に限り,感染脆弱性と嫌悪反応や汚染リスク推定とが強く相関していた。これは,嫌悪感への感受性が高い場合に,水分に関する質感が感染症等の疾患と結び付けられやすくなることを示した結果であった。以上の結果から,汚染恐怖の病態に関して,心理物理学的な観点から一定の理解を得ることができた。これらの成果はH29年度中の学会等で発表された。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2018 2017 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 日本語版嫌悪尺度(DS-R-J)の因子構造,信頼性,妥当性の検討2018

    • 著者名/発表者名
      岩佐和典・田中恒彦・山田祐樹
    • 雑誌名

      心理学研究

      巻: 89 ページ: 82-92

    • DOI

      https://doi.org/10.4992/jjpsy.89.16230

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 行動免疫と非人間化からみた外集団への排斥的態度2017

    • 著者名/発表者名
      岩佐和典
    • 学会等名
      感情心理学会第12回セミナー
  • [学会発表] 気持ち悪い視覚的質感の研究――行動免疫からみた湿り気・ヌメリ・ベタツキ2017

    • 著者名/発表者名
      岩佐和典・小松孝徳
    • 学会等名
      質感のつどい第3回公開フォーラム
  • [学会発表] 粒子解析による視覚的な濡れ質感の心理物理学的検討2017

    • 著者名/発表者名
      岩佐和典・小松孝徳
    • 学会等名
      日本心理学会第81回大会
  • [学会発表] 汚染的質感の視覚的検出に影響する画像統計量の検討 ―行動免疫システムの観点から―2017

    • 著者名/発表者名
      岩佐和典・小松孝徳
    • 学会等名
      日本感情心理学会第25回大会
  • [学会発表] 道徳的嫌悪感と攻撃性との関連 三領域嫌悪感尺度の信頼性と妥当性の検討を通して.2017

    • 著者名/発表者名
      荒井崇史・岩佐和典
    • 学会等名
      日本心理学会第81回大会
  • [備考] 嫌悪の測定尺度(岩佐和典HP,Researchページ内)

    • URL

      http://kaiwasa00.wixsite.com/mysite/research

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公開日: 2018-12-17  

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