研究課題/領域番号 |
15K21545
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研究機関 | 吉備国際大学 |
研究代表者 |
井上 優 吉備国際大学, 保健福祉研究所, 準研究員 (90726697)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 転倒発生予測 / 一般高齢者 / アプリケーション開発 |
研究実績の概要 |
平成27年度は,地域介護予防教室に参加している高齢者を対象に歩行中の加速度波形を記録し,他の研究やこれまでに用いてきた解析手法により転倒経験者と非経験者の判別が可能であるのかを検討する研究を計画した.特に,歩行動揺性や歩行円滑性を表現しうる解析手法と歩行変動性の関連性に注目し,新たに各指標の変動傾向を把握できる内容も加え検討を進めることとした. 2月時点では40名の高齢者が登録されデータの計測を実施した.また転倒の危険性を判別する指標選択に関する検討には,新規転倒発生の予測能という観点で検討する必要があるため,介護予防教室に参加する高齢者の転倒発生に関する情報の収集を進めるよう計画した.3月以降に新たに25名の高齢者が登録され,最長1年間,転倒発生に関する情報を介護予防教室参加時に確認する方法で情報を収集し,初回評価後3ヶ月,6ヶ月,12ヶ月後の転倒発生に関する予測能の検討を行う予定である.加えて,転倒を予測しうる指標が何らかの介入による身体機能の変化を捉えることができるのであれば,より指標の有用性が高まると考え,転倒ハイリスク者で歩行障害改善に向けたリハビリテーションサービスを提供される代表的な疾患である脳卒中患者を対象とする検討を新たに計画した.その検討では,歩行中の加速度波形解析を実施し,一定期間のリハビリテーションの実施により得られた機能回復と転倒予測指標との関連性を縦断的に検討している. 倫理的配慮は吉備国際大学倫理審査委員会,または平成医療短期大学倫理審査委員会,協力医療機関の有する倫理審査委員会の承認を得た上で実施した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在、一般高齢者65名,脳卒中患者20名の計測を終えており,縦断的検討の対象者の次回の測定に向けた準備を進めている段階である.これまでに得られた横断データに対する解析結果から,一般高齢者と脳卒中患者ともに,転倒低リスク者は歩行円滑性指標の変動性は小さく類似しているものの,転倒高リスク者は変動性が大きく異なるパターンを示すことを確認している.
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今後の研究の推進方策 |
今後は介護予防教室に継続して参加している高齢者の新規転倒発生に関する情報を集積し,解析可能になった段階で,転倒予測能に関する解析を行う.その検討結果を踏まえて,スマートフォン上で作動するアプリケーションに用いる指標を決定し,そのアプリケーションを実装したスマートフォンによる加速度記録および解析の実施を進める予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
2016年4月に開催される20th European Congress of Physical and Rehabilitation Medicineへの参加に必要な旅費を確保するため.
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次年度使用額の使用計画 |
既に20th European Congress of Physical and Rehabilitation Medicineへの参加と発表は終え,繰り越された助成金の執行は終えている.28年度の助成金は,主に介護予防教室参加者のデータ測定に関わる旅費,謝礼金として使用するほか,研究実績の学会報告にかかる旅費,論文投稿にかかる英文校正費,掲載料として使用することを予定している.
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