研究課題/領域番号 |
15K21549
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研究機関 | 福山平成大学 |
研究代表者 |
徐 恩之 福山平成大学, 経営学部, 講師 (00638421)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 企業ブランド / 内部ブランディング / ブランド志向 / 戦略的ブランド管理 / 標準化 / 現地適応化 / 部門間・親会社と地域総括管理 / 認識形成 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は企業ブランドが、企業のコア資源として、企業の全般的戦略実行、企業成果及び顧客成果向上に、いかなる役割をするのか、そして、企業ブランドのマネジメントのあり方はなにかを、社内メンバーの認識管理の側面から捉えていくことである。本年度は、研究初年度であったため、「企業ブランド管理」「部門間・親会社と地域総括管理」「認識形成」というキーワードに合わせて先行研究のレビューを行うと同時に企業ブランド管理の戦略的あり方や概念の理解を深めつつ、研究潮流を回覧し、先行研究の限界を見つけるように研究を進めた。 先行研究のレビューを進めていく中で、次のような点が明らかになった。まず、企業ブランド管理は、内部ブランド化、ブランド志向の向上、ブランドの戦略的価値向上により概念付けられており、これらは、顧客成果及び企業成果を高める役割をするが、すべての企業に当てはまる前提とはならず、企業ブランドの管理を企業能力及び戦略方向性として捉える際、企業ブランド管理を行う企業が面する環境及び組織的条件を共に考えることが重要となる。そこで、企業の環境・実行・成果という戦略構造の中から、企業ブランドの育成及び企業ブランドへの内部認識の共通化を目指す活動が、いかなる効果があるのかを検討する必要性があり、そのモデルの説明ルートとして、メンバー間の企業ブランド認識の形成、部門間・親会社と子会社管理、マーケティング活動の一貫性が存在することに気づいた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた通り、企業ブランドマネジメント、部門間連携、親会社と地域支社との関係の概念に関する先行研究のレビューを行い、各概念の理解を深めつつ、企業ブランドマネジメントのあり方を検討する方向性が定まった。なお、企業ブランディングと戦略の関係に関する枠組み及び仮説モデルが作られたうえに、質問票調査を実施しデータが集まっている点から、おおむね順調に進展していると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
分析の結果から、マーケティング分野でよく援用されるSCP(構造―実行―成果)モデルに基づき、企業ブランド管理行動を、先行条件(市場不確実性・標準化)と結果(顧客成果・企業成果)との関係から、総合的に慨覧できるモデルを定量的に検証していくが、その理論背景を、企業ブランドの価値や利用における社内メンバーの認識統合メカニズムから説明していく。このアイデアは、国内及び海外学会にて発表を行い、フィードバックを反映しつつ、投稿論文にまとめていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初は、企業インタビューを先行研究のレビューと同時に行う予定であったが、企業ブランド管理の相対的な先行要因と成果との関係を見るために質問票調査を先に行い、企業インタビューの実施は分析後に計画を変更した。そのため、当初予定していた出張費及び物品の購入が初年度に必要ではなくなり、次年度に実施することとなった。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度は、国際学会でのアイデア発表及びフィードバックの収集を行い、次年度の論文投稿のための準備をしていく。現在、アメリカで開催される37th International business research conferenceに参加し、研究報告を行う予定である。そのために、ノートパソコン及びプロジェクトといった物品を購入し、英文校閲を行う予定である。
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