研究課題/領域番号 |
15K21550
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研究機関 | 徳山大学 |
研究代表者 |
前田 一篤 徳山大学, 経済学部, 講師 (20733231)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 教師教育 / 体育科教育 / レジリエンス / 教師の苦悩 |
研究実績の概要 |
本研究では教員が抱える困難を克服する過程に着目し、困難を克服するときに発揮される能力の測定尺度の開発と、それらの発揮場面および形成・変容の過程を明らかにすることを目的とする。とりわけ、研究対象としては、その職務に特徴を持つ(松田,2010;岩田,2013)と報告されている、保健体育科教員を中心に検証していくこととする。具体的な研究課題としては、以下の3点である。① 教員が困難を克服する要因の切り口として、教員の「レジリエンス」に焦点を当て、その測定尺度を作成、および因子間の因果関係を解明する(研究課題①)。② 保健体育科教員が苦悩を克服する過程を横断的に調査し、「レジリエンス」の発揮場面と、その形成・変容の過程を明らかにする(研究課題②)。③ ②と同様の調査を保健体育科以外の教科担当の教員を対象として行い、研究課題①、②の結果との比較検討から、教員の「レジリエンス」の形成・変容過程とその要因を解明する(研究課題③)。本研究は質的・量的の両面から課題にアプローチする「混合研究法」(クレスウェル,2010)を適応して課題に迫り、教員の資質能力の向上を支援する次世代教員養成プログラムの構築を目指した基礎的研究である。 平成28年度は、前年度から継続して上記の研究課題①と研究課題②について取り組んだ。具体的には、中等教育段階を担当している保健体育科教員に質問紙調査及び、初任者である若手保健体育科教員に対して事例的にインタビュー調査を行った。現時点では「レジリエンス」の因子と、若手保健体育科教員が抱える困難の内容についての示唆が得られている。ただし、サンプル数を確保することは結果の信頼性および妥当性を確保するために、引き続き必要な課題として確認された。また、今後は該当年度の成果から、「レジリエンス」の測定尺度を定型化した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成28年度は、「やや遅れている」と判断した。その理由として、質問紙に回答していただく協力者の変更や取りやめをしなければならない状況がいくつか発生したことが挙げられる。測定尺度を定型化するためのは一定のサンプル数が必要不可欠なため、この点で遅れていると評価せざるを得ない。 ただし、全体的にはデータや資料の収集は着実に実施しているため、上記の進行状況であると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究においては、サンプル数の確保が最優先課題として挙げられる。特に量的データの不足がみられるため、公的機関などに協力を仰ぎ早急に対応したい。 また、専門的知見の獲得や研究のさらなる発展をさせるために、得られた成果を発信する必要がある。 今年度は、「レジリエンス」の測定尺度を定型化させるとともに、横断的に実施してきたインタビュー内容と照らし合わせ、レジリエンスの変容過程を事例的に解明していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
所属機関の制度上、発注部署が指定されており、支払い方法に制限がある。そのため、発注・支払いに関わる手数料等発生する状況となった。計画では手数料等を計上していなかったため、使用用途を十分に吟味する必要があった。 それに派生して、年度末での使用計画に誤差ができ、当該年度内に使用できなかったため次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
翌年度分として請求してた使用計画に加え、質問紙配布に関わる印刷費、および通信費に充填することとする。
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