研究課題/領域番号 |
15K21551
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研究機関 | 四国大学 |
研究代表者 |
鎌田 智英実 四国大学, 生活科学部, 助教 (50389160)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 携帯 / 食事調査 / 大学生 |
研究実績の概要 |
若年層の健康・栄養上の問題を改善するため、1日に摂取した料理を選択することにより栄養素摂取量を計算し記録することができる「携帯食事手帳」の開発を行った。今年度は料理データ追加等の機能の充実を図った。データ追加に伴う栄養計算結果の妥当性を検討するため、利用のターゲットである女子大学生(72名)を対象に3日間の食事秤量記録法を実施し、同日の食事内容を携帯食事手帳でも入力させた。 食事秤量記録法から算定したエネルギー摂取量は1578±347kcal、携帯食事手帳から算定したエネルギー摂取量は1596±283kcalであった。携帯食事手帳を用いて算定したエネルギー、エネルギー産生栄養素およびビタミン類、カリウム、カルシウム、鉄、食物繊維、食塩摂取量は食事秤量記録法を用いて算定した摂取量に対して90~106%の量であり、両者の算定摂取量に有意差はみられなかったことから算定される栄養素量の妥当性は確保できた。一方、ビタミンDは誤差が大きかった(74%)ためデータの見直しを予定している。 さらに利用者へ提供するデータの検討および利便性向上のため、携帯食事手帳に対するアンケート調査を実施した。簡単に栄養摂取量を知ることができることにメリットを感じる意見が多い一方、料理選択の際の入力作業が面倒である、料理数が少ないなどの意見が出された。入力に際して不足していた料理としては74種類あげられた。また、追加機能の要望として体重管理機能、献立例や運動によるエネルギー消費量の例等の参考データを提供してほしいという意見があげられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は料理データの整備および提供データの検討による携帯食事手帳の開発を目的としており、おおむね達成できた。そのため、次年度に予定していた計画の一部である携帯食事手帳を利用してもらい、利用に際しての問題点、改善点の把握を行うことができた。あげられた問題点や改善点に対する対策が必要であるが、当初の予定通り進行できている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は携帯食事手帳の改善と利用による食生活改善効果の検討を行う。 本年度の調査であげられた携帯食事手帳の利用に際しての問題点に対して改善および対策を行う。入力に際して料理選択の際の手間が指摘されたことから、1回の入力で複数の料理を選択できるなど利便性を高めるよう検討する。また、利用方法の理解が難しいことが考えられたことから利用マニュアルの作成についても検討する。 大学生を定期的に携帯食事手帳を利用してもらう介入群と対照群にわけ、栄養素摂取状況を調べるとともに生活習慣や身体状況についても検討し、携帯食事手帳利用による食生活の改善効果について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度はこれまでの研究、授業等で得られた料理データ等を用いたため、当初予定していた新規の料理撮影等は実施しなかった。また、今年度は予備検討のため学生所有のスマートフォン、タブレットを利用した調査のため貸出用のタブレットは確保しなかった。このため、今年度は当初予定していた支出額を下回っている。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度の調査によりさらに追加が必要である料理については料理画像データを更新するため、新たに料理を作り、撮影する必要がある。そのため料理に使用する材料や市販食品を購入する予定である。 長期的な介入に際し、利用説明用および貸出用のタブレットを購入する予定である。被験者に対しては謝礼を予定している。また、調査データが得られることからデータ処理用の統計ソフトを購入するとともに、データ入力のための人件費を予定している。
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