研究課題/領域番号 |
15K21558
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研究機関 | 中村学園大学 |
研究代表者 |
熊谷 奈々 中村学園大学, 栄養科学部, 助手 (70552983)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 低栄養 / 妊娠中期 / 胎児 / 新生児 / 小腸 / 大腸 / 腎臓 |
研究実績の概要 |
本研究では、胎児期の低栄養が出生後の消化管(小腸および大腸)に及ぼす影響について詳細に検索することにより、妊産婦・胎児・新生児・乳児の栄養指導に役立てるための基礎的実験を行うことを目的としている。 平成27年度は、Wistar 系妊娠ラットを通常飼育(正常群)、または妊娠中期に低栄養で飼育、その他の期間は通常摂食させ(妊娠中期低栄養群)、各群の母ラットから出生した新生仔ラットを用いて生後0(出生直後、未授乳)、7、14、21日齢の腎臓、小腸(空腸、回腸)および大腸(盲腸、結腸近位部、結腸遠位部)を採取し、超微形態学的に検索を行った結果、出生直後の妊娠中期低栄養群では腎臓の大きさ、重量共に正常群よりも小さく、腎小体は皮質に多く観察された。日数の経過とともに腎臓の大きさおよび重量は増加したが、正常群よりも小さく、腎小体は正常群よりも早期に皮質に移行した。出生直後の妊娠中期低栄養群の空腸はいずれの時期においても正常群との違いはほとんど見られなかった。出生直後の妊娠中期低栄養群の回腸では正常群よりも絨毛が短く、日数を経過するごとに絨毛は伸張するものの正常群と比較すると短い絨毛が認められた。また、21日齢において正常群では回腸吸収上皮細胞内に巨大ライソゾ―ムが見られなかったが、妊娠中期低栄養群においては認められた。妊娠中期低栄養群の盲腸では、いずれの時期においても正常群との違いは見られなかった。14日齢の妊娠中期低栄養群の結腸近位部において、ヒダの上およびヒダとヒダの間に正常群では消失した絨毛様構造が観察された。結腸遠位部ではいずれの時期においても正常群と同様に絨毛様構造は見られなかった。これらのことから、妊娠中期の低栄養は胎児および新生児の消化管に影響を及ぼすことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度の研究計画に関して、正常群および妊娠中期低栄養群(Wistar 系妊娠ラットを妊娠中期に水のみを与えて絶食、その他の期間は通常摂食させる)から出生した生後0(出生直後、未授乳)、7、14、21日齢の腎臓、小腸(空腸、回腸)および大腸(盲腸、結腸近位部、結腸遠位部)を採取し、形態学的、三次元的、超微形態学的に検索を行った。現在、統計解析を行っている途中である。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、Wistar 系妊娠ラットを通常飼育(正常群)、または妊娠初期(妊娠0~7日齢)に低栄養で飼育、その他の期間は通常摂食させ(妊娠初期低栄養群)、各群の母ラットから出生した新生仔ラットを用いて生後0(出生直後、未授乳)、7、14、21日齢の腎臓、小腸(空腸、回腸)および大腸(盲腸、結腸近位部、結腸遠位部)を採取し、形態学的、三次元的、超微形態学的に検索する予定である。また、それらの結果を統計的に解析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由として、人件費・謝金が発生しなかったことがあげられる。また、学会参加が少なく、学会開催地も近隣であったため、予算額よりも小額であったことがあげられる。
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次年度使用額の使用計画 |
これらの金額と次年度以降に請求する研究費を合わせた使用計画としては、学会参加のための旅費、外部の研究協力者への人件費・謝金などへの使用を計画している。
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