研究実績の概要 |
本研究課題ではノイズ不要の確率共鳴を実現するために、以下の研究課題を実行してきた。1, 興奮性ニューロンと抑制性ニューロンから成る非同期ニューラルネットワークの作成、2, 非同期ニューラルネットワークの独立性の評価 本年度は3, ノイズ無し確率共鳴の性能評価を行った。まず、作成された非同期ニューラルネットワークに微弱な入力信号を入力し、その検出を行った。入力信号には (1) 正弦波、(2) 周波数と振幅の異なる正弦波の重ねあわせの2種類を用いた。性能評価は先行研究との比較により行い、比較対象は、 (1) ネットワーク化しない検出器に白色ノイズを印加した確率共鳴、(2)Collins らの提案したネットワーク化した確率共鳴、とした。ノイズ強度を徐々に増やした時に (1) 最高でどれだけの再現度で検出できるか、(2) ノイズの変化に対してどれだけ非選択的に信号検出できるか、を基準に評価した。元信号と検出された信号の振幅は異なることが予測されるため、元信号と検出された信号の比較は相関係数を用いて行なった。その結果、単一の検出器のみの場合と比較して、非同期ニューラルネットワークを検出器を用いると、より検出力が向上することが確認された。(2)のCollinsらの提案したネットワーク化した確率共鳴と比較すると、その性能は必ずしも向上しているとは結論づけられなかった。この原因として、ニューロン同士の非同期化が弱く、相関が残っているためと考えられる。
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