専属放射線サポートチームのメンバーとして放射線科医、診療放射線科技師、インターベンションエキスパートナースに加え、主治医も参加している。治療前および治療後でカンファレンスを行い、治療内容や臨床経過に加え、放射線による障害の有無の報告、被ばくが多かった事例について検証を継続して行った。また、得られたデータを検証し、頭頸部血管造影における水晶体防護版による被ばく低減の検討を開始した。まず水晶体防護版のサイズ、位置に関して人体ファントムおよびシミユレーションによる被ばく低減効果を検証した。その後、実際の臨床現場の頭頸部血管造影検査時に使用し、防護版の作成前に蓄積したデータと作成後のデータで比較検討を行った。分析した結果、実際の患者でも水晶体への被ばく低減が証明できた。ただし、症例数が少なく、様々な疾患におけるデータ蓄積を継続して行っている。また、腹部領域では、繰り返し治療を行う肝細胞癌患者のデータ解析を行い、椎体骨や複数の照射野が重ならないようすることで、被ばく低減に効果的であることも分かった。対外的な活動として、自施設の活動を、主にインターベンションエキスパートナースが参加する第5回INE会や、主に診療放射技師が参加する第11回北九州血管造影勉強会で発表を行った。INE会では100名のアンケート調査を行い、各施設の現状と発表後の意識変容の確認ができた。今後予算が新たに得られれば、血管内治療シミュレーション機器の被ばくシミュレーションソフトを活用して、IVR経験年数の違いや対象疾患の違いなどの分析であったり、臨床現場に入る前の学生、研修医、技師、看護師に対する被ばく低減教育に活用し、有用性を示すことを予定している。
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