研究課題/領域番号 |
15K21572
|
研究機関 | 東京農業大学短期大学部 |
研究代表者 |
下嶋 聖 東京農業大学短期大学部, その他部局等, 助教 (60439883)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | GIS / リモートセンシング / AR(拡張現実感技術) / UAV / 植生荒廃 / ニホンジカ / 山岳環境保全 |
研究実績の概要 |
本研究は、地理情報システム及びリモートセンシング技術にみる一連の空間情報技術を活用し、山岳環境資源管理に向けた拡張現実感技術(AR)による情報提供システムの開発を行うことを目的としている。目的を達成するため、当該年度では以下の課題を設定し取り組んだ。 1.南アルプスにおけるニホンジカのモニタリングマップの作成:これまで研究代表者が作成したニホンジカの食圧実態マップ上に、昨年度UAV(いわゆるドローン)による空撮で取得した超高分解能画像(地上分解能0.03m)とSfM(画像合成)ソフトを活用して生成した数値標高モデル(地上分解能0.06m)をオーバーレイし、山岳環境資源管理におけるUAVを用いた空間情報取得の有効性を検証した。 2.北アルプスにおけるニホンジカの食圧予測マップの作成:平成27年度(1年目)で構築した地理情報システムプラットフォームを活用して、各種リモートセンシング画像から抽出した高山植生域と林野庁富山森林管理署が取得している既存のニホンジカの個体捕捉データとをGIS上に重ね、両者の地理的位置関係についてオーバーレイ解析を行った。地理的位置関係の特性を明らかにした上で、ニホンジカの食圧予測マップの作成を行った。 また上記に加え次の2点についても継続的にデータ収集及び解析を進めた。1つめは平成27年度の課題で取り組んだ「島嶼環境下に生息するケラマジカの生活史」について当該地である慶良間諸島の過去の空中写真を収集し、土地利用変遷の解析を進めた。2つめは衛星画像解析を進める際、山岳地など地形の起伏が激しい場所を対象とする時に生じる地形効果(斜面方位や傾斜角の違いにより取得された衛星画像のデータが変わってしまう現象)について各種補正を行った上での採食地および未採食地の高茎草本群落の抽出の検証を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画で設定している課題のうち「1.南アルプスにおけるニホンジカのモニタリングマップの作成」については、盛夏で高山植物がもっとも繁茂する7月にUAVによる空撮を試みたが、地形データは取得できたものの天候不順のため可視画像において植物のフェノロジーを考慮した画像の取得に至っていない。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度にあたる平成29年度においては、再度UAVによる空撮を試みる。生態系保全と資源活用の両立をめざすニホンジカの持続的管理システムの構築の具体化として、拡張現実感技術による情報提供プラットフォームの基盤整備を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初予定してたUAV(いわゆるドローン)の消耗品等購入を検討していたが、実際の調査回数が2回にとどまり購入せず終えたため。
|
次年度使用額の使用計画 |
平成29年度にUAVによる空撮の補足調査を実施するため、その消耗品等購入に充てる予定である。
|