本研究は、地理情報システム及びリモートセンシング技術にみる一連の空間情報技術を活用し、山岳環境資源管理に向けた拡張現実感技術(AR)による情報提供システムの開発を行うことを目的としている。目的を達成するため、当該年度では以下の課題を設定し取り組んだ。 1.拡張現実感技術による情報提供プラットフォームの基盤整備:AR技術を用いて、整備した地理情報システムのデータの現地検証可能なアプリの開発を行い、山岳環境資源管理に向けた情報提供システムの構築を行った。当初、OSMacⅩ環境にてXcode言語を用いてiPhon8に実装可能なARアプリの開発を目論んでいたが、OSMacⅩ環境下ではスマートフォン等への実装時にアップル社の認証が求められ、手続きに煩雑さが生じることから、Web環境下で動作するARアプリの開発を行った。 2.既採食地と未採食地との比較及び検証:南アルプス(ニホンジカによる高山植物の既採食地)と北アルプス(ニホンジカによる高山植物の未採食地)の両地域の解析結果の比較及び検証を行い、生態系保全と資源活用の両立をめざすニホンジカの持続的管理システムの構築を行った。 3.空間情報技術を活用した山岳環境資源管理の事例研究:空間情報技術を活用した山岳環境資源管理の事例研究として、最終年では既存の空中写真及びUAV空撮より取得した画像を用いて、山岳地のキャンプ場周辺の裸地の拡大傾向を把握し、山岳環境資源管理に向けたキャンプ場の適正利用計画の策定に資する事例研究を行った。なお研究成果は2017年12月10日に行われた第47回日本レジャー・レクリエーション学会大会にて、発表テーマ「地理空間情報技術を援用した山岳性自然公園内のキャンプ指定地における適正利用計画の策定~中部山岳国立公園・雲ノ平キャンプ場を対象として~(西彩菜・下嶋聖他)としてポスター発表を行い、会長賞を受賞した。
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