ヘルマン・コーヘン(1842-1918)は、カントの独創的な読解により観念論的、認識論的な哲学体系を形成し、19-20世紀の世紀転換期のドイツで大きな影響力をもった哲学者として知られている。様々な形で宗教的なものが台頭する現代世界において、彼の晩年の宗教哲学や理性の宗教としてのユダヤ教論が近年新たに注目されている。 本研究は認識論の哲学とそうした宗教哲学がどのように関連するのかを読解しようと試みた。その結果、認識論哲学の要である無限判断が晩年の宗教哲学においても重要な役割を果たしていること、さらにはその思想がその後のユダヤ系哲学者にも形を変えて受け継がれていることが分かった。
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