この研究は、フランスが直面してきた移民の社会統合をめぐる問題のうち、2000年代以降の教育政策及びイスラム系私立学校に対する私学助成の問題に焦点をあて、それらを通じたフランスの社会統合モデルを分析することを目的とした研究である。3年間の研究を通じて、(1)フランスの教育政策には移民の統合と分離という二面性が認められること、(2)2000年代以降の教育政策では「統合」の側面が強調されてきたものの、それはフランスの「教育の自由」の一側面として説明しうるものであること等の結論を得ることができた。研究の過程でイスラム系私立学校の設置及び認可のプロセスに関する調査を実施できた点もこの研究の成果である。
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