近年,我が国における少子化は顕著であり、「子ども・子育て支援」は国策の大きな柱として政府や各自治体でも多様な施策は講じられてはきているが、早急に解決する必要がある問題である。そのような中、子育てが「孤立化」している母親の育児不安等を解消するために母親の社会参加や母子の外出支援を促進していく必要がある。一方,乳幼児を育てている母親は外出行動に関して多様なバリアに直面していることが明らかになっている、特に、積雪寒冷地では、冬期の降雪による天候不良や路面凍結などの影響による外出行為の制約が余儀なくされるため、とりわけ未就園児とその母親の引きこもりが助長される点が懸念される。以上のことからも、平成27年度以降、本研究は積雪寒冷地における未就園児とその母親の外出を支援するための育児環境の整備に向けた基礎的研究として、対象市域および対象地域の土地利用および道路等の空間状況、自治体の子育て支援事業の概況および対象地域内の子育て支援施設の状況の把握を行った。その結果を踏まえ、非積雪期/積雪期の両時期において対象母子の空間利用状況の把握を行った。また、対象となる母子の外出行動の実態と地域特性及び個人・世帯特性との関係性についても分析をしており、今後は、本研究結果をもとに、函館市において未就園児とその母親の外出を支援するための育児環境の整備に向け、環境計画の視点から母子の居場所の確立に関して提言を行い、発信していく予定である。
|