研究課題/領域番号 |
15K21581
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研究機関 | 小山工業高等専門学校 |
研究代表者 |
サム・アン ラホック 小山工業高等専門学校, 電気電子創造工学科, 助教 (30633870)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 磁気マップ / 磁気センサのキャリブレーション / 磁気シールドルーム |
研究実績の概要 |
平成27年の目的は、異なる仕様のロボット間で共有できる磁気マップを作成することである。これを実現するために、まず磁気マップ作成用の台車を製作した。台車の製作に当たって、台車自体からの磁場影響を磁気センサに与えないように、磁気センサと部品(電源回路、パソコン、マイコンなど)の配置を0.5m以上離れるように設置した。また、周囲の磁場影響を更に抑えるために、部品の周りに磁気シールドを巻いた。更に、磁気マップを記録するためのパソコンを小型パソコン(Raspberry Pi)にした。これより、台車自体からの磁場影響を磁気センサにほとんど与えずに磁気マップの作成ができるようになった。次に、磁気センサのキャリブレーションをより正確に行った。研究計画では、周囲の磁気をキャンセルすることができる装置(PalmGauss PGS-5G)を利用して行う予定だった。しかし、予算の都合でPalmGaussの代わりに磁気シールドルームを製作することにした。磁気シールドにはTMS-533を利用し、台車とロボットが360度回転できるように1mx1mx1m以上の広さになるようなルームを設計した。この効果を事前に確認するため、10分の1のスケールの磁気シールドルームを試作したが、平成27年中に実際の磁気シールドの製作を完成するまでには至らなかった。また、予算の都合で導入予定のRTK-GPSを導入することができなかった。そのため、計画した磁気マップ作成が大幅に遅れている状況である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
遅れる理由は、予算の都合で平成27年中にRTK-GPSを導入することができなかったことと、研究計画を変更しなければならないことであった。RTK-GPSについては、基準局(Hemisphere GPS R330)のみを導入することができた。残りの移動局(Hemisphere GPS A325)については、平成28年に導入する予定である。研究計画の変更については、予定した周囲の磁気をキャンセルすることができる装置(PalmGauss PGS-5G)を導入することができなかった。その代わりに磁気シールドルームを製作することにした。そのための磁気シールドの調査、磁気シールドルームの設計や試作などに手間がかかった。
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今後の研究の推進方策 |
まず、磁気シールドルームの製作である。設計は、台車及びロボットが360度回転できるように広さを1mx1mx1m以上にした。この磁気シールドルームを利用して、磁気センサのキャリブレーションを行い、磁気マップの作成を行う。次に、磁気マップの評価を行いながら、公開できる形の磁気マップに改良する。具体的には、ロボットの仕様を変化させ(例:磁気センサや部品の配置など)、自律走行結果によって、異なる仕様のロボットでも磁気マップが有効であるかどうかの評価を行う。また、磁気マップを作成した後の時間の経過に対する磁気変動についても時間をかけて調査する。具体的には、一定時間間隔において磁気マップを作成し、以前作成した磁気マップと比較し、変動状態を調査する。我々はこれまでの経験に基づいて、磁気センサで検知した環境磁場を動的磁場(地中に埋められた電線や通過自動車などによって瞬間的に変化する磁場)、準静磁場(建物の鉄骨や地中に埋まった金属などよって生じる磁場)、静磁場(地磁気)の3種類に分類した。動的磁場に関しては、検知した磁場強度を微分することによって取り除くことができる。そこで、オープン磁気マップへの改良は磁性体の移転による環境磁場の変動(準性磁場)への対応にあたる。本研究では、周囲の移動磁性体からの影響を最小限に抑えるために、地下方向に向ける磁気センサで検出された磁場強度(移動しない地中に埋まっている磁性体からの磁場強度)を利用するが、工事による配管やマンホールなどの移動による磁場変動は避けられない。そこで、それらの影響を定量的に評価し、磁気マップが対応できない場合は定期的に磁気マップの更新を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
予算の都合で平成27年に本研究に必要な全ての物品を導入することができなかった。そのため、平成27年の補助金をある程度残して、平成28年の助成金と合わせて導入できなかった物品の費用に利用することにした。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年の残分を平成28年の分を合わせて、導入できなかったRTK-GPSの移動局を導入する予定である。
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