平成28年度には、磁気シールドルームを利用した磁気センサのキャリブレーションと、磁気センサの周りの機器に磁気シールドを被せることによって、よりロバストなナビゲーション法を実現することができた。これをつくばチャレンジ2017に参加するロボットに搭載し、約2kmの距離を自律走行させることに成功した。その結果を既に学術論文としてまとめて、学会に投稿した。 平成29年度の目標は磁気マップを共有できるものにすることであった。そのため、世界共通の座標を使用する必要があった。そこで、アメリカの衛星「GPS」と中国の衛星「BeiDou」の組み合わせたRTK測位法により取得した位置情報を使用した。その結果、建物の周辺でも正確な位置情報を取得することができた。この位置情報を利用して磁気マップを作成した。GPSの電波が届かない木の下などの場所ではエンコーダーを使って補正をかけた。そのため、RTK測位法で測定した位置情報の方向とエンコーダーで算出した位置情報の方向を合わせる必要があった。そこで、両方法で算出した方向の角度の差を計算し、回転行列を用いてエンコーダーで算出した位置情報を回転させて作成した。 本研究の最終目的は、つくばチャレンジにおいて磁気マップを作って、参加チームに提供することであった。しかし、予算の関係で研究計画を大幅に変更したことから、研究が遅れてしまい、つくばチャレンジでの磁気マップを作成することができなかった。その代わりに小山高専での200m程度のコースにおいて磁気マップを作成し、本研究室の2台の移動ロボットで評価実験を行った。磁気センサのキャリブレーションは磁気センサを搭載した2台のロボット毎に小山高専のサッカーグラウンドで行った。結果は2台ともコースを完走することができた。今後、ロボットに搭載している機器の位置を変えて評価実験を行う予定である。
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