研究課題
本研究課題の目標は,解剖学的に関係する複数の骨格筋の同時自動解析を実現することである.ここでは,特に高齢者の自立歩行機能に関連する腸腰筋を対象とし,腸腰筋を構成する大腰筋および腸骨筋の同時自動解析を実現することを目的とした.最終年度である本年度の成果は,申請者がこれまでに開発した大腰筋の自動認識手法と腸骨筋の自動認識手法を統合し,2つの骨格筋モデルを用いた複数の筋で構成される筋を同時に自動認識する手法を構築した.特に,前年度までに構築したそれぞれの筋のモデルは起始・停止のランドマークと走行モデルで初期位置を設定し,その後,独立した形状モデルを当てはめ,形状モデル上でそれぞれの筋の認識を行っていた.しかし,隣接するそれぞれの筋の境界を形状モデル設置後に判別することは難しいという問題があった.そのため,筋走行の規定時に起始・停止に加え骨上(ここでは寛骨)に補助ランドマークを設定し,より高次のスプライン関数を用いた走行モデルを構築した.これにより,前年度と比較し,腸腰筋内における腸骨筋と大腰筋の区別がより正確に実現できた.加えて,本最終年度は筋の解析技術にも取り組み,従来認識した骨格筋領域を骨格筋領域と骨格筋内の脂肪織,骨格筋領域から骨格筋領域内の脂肪織を取り除いた領域,骨格筋内の脂肪織の3領域に自動分類し,筋を筋内脂肪織の観点から分析可能とした.本技術は筋萎縮による筋内脂肪領域の相対的な増加を把握できる技術となる.以上のように,本研究課題では,体幹部CT画像を用い,腸骨筋の三次元画像解析技術を開発し,腸腰筋自動認識およびその解析を実現した.今後は,筋内脂肪織の経時変化や萎縮を伴う筋疾患間との関係の解明が必要となり,そのための大規模データの構築が必要である.
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Proceedings of the Fourth International Symposium on the Project "Multidisciplinary Computational Anatomy"
巻: - ページ: 115-124
Proceedings of International Journal of Computer Assisted Radiology and Surgery
巻: 12 ページ: 275
http://www.ist.aichi-pu.ac.jp/~n-kamiya