研究実績の概要 |
交付2年目は初年度に引き続き,福祉避難所の実態把握に努めるとともに,将来の需要予測と現在の指定状況を比較することを目標とした.そのため,兵庫県の福祉避難所を対象としたアンケート調査を実施し,運営の実態と各施設が抱えている課題・不安・行政等への要望を把握した.対象地域は兵庫県全域(29市12町)であり,その配布数は 773(行政への問い合わせで明らかになった施設),回収数は271,回収率は35.1%,信頼度は95.8%(誤差範囲を5%とした)となった.また,各自治体の高齢者人口データをもとに将来人口推計を実施し,現状の指定状況では発災時に十分にその機能を発揮することが困難となる可能性を指摘した.本研究の結果,福祉避難所の現在の指定状況では多数問題点が見つかり,災害時に福祉避難所として運営できるか不安であると多くの施設が悩みや不安を抱えているということがわかった. このことから,まず行政がこの状況を把握し,施設の管理者,地域住民に福祉避難所のことを知ってもらう必要があると思われた.今年度得られた成果については,これまで神戸高専産金学官フォーラムで中間報告し,その機会に得た助言等を踏まえて研究内容のさらなるスパイラルアップを図った.その成果は,土木学会関西支部の年次学術講演会ほかにて発表予定である.なお,研究計画の段階では予定にはなかったが,当該年度4月に起きた熊本地震での福祉避難所運営の実態把握に係る現地調査も実施した.最終年度の報告書にはここで得られた知見も踏まえる予定である.
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