研究課題/領域番号 |
15K21591
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研究機関 | 香川高等専門学校 |
研究代表者 |
逸見 知弘 香川高等専門学校, 創造工学専攻, 准教授 (00413849)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | モデル予測制御 / グレブナー基底 / 非線形制御 / 制御パラメータの調整 / 最適化 |
研究実績の概要 |
これまでの研究成果として,以下のモデル予測制御に関する研究を行った. (1) モデル予測制御系において,フィードバックループが切れた時, (A) 閉ループ系の極, (B)コントローラの極, (C) フィードバックが切れた時の定常値の3 つの制御仕様決定に対し,制御対象の特性を多項式で表現する多項式法から同一次元オブザーバを用いた状態方程式表現による既約分解表現によりモデル予測制御を拡張し,さらに数式処理ソフトウェアを用いたグレブナー基底を利用した設計方法を提案した. (2) 一般化予測制御に対する強安定制御系の設計手法において,フィードバックループ切断後に定常偏差が残るという問題に対し,フィードバックループ切断状態における制御量の定常値を算出し,定常状態において目標値と制御量が一致する条件式を導出し.この条件式を用いて制御則の極を設定することで,定常偏差の生じない強安定制御則を開発した.さらに,それらを拡張し,フィードバックセンサの故障とアクチュエータの故障を検出する手法を開発し,非線形システムの拡張例として,1リンクアームの角度制御においてその有効性を数値シミュレーションにより確認できた. (3) 非線形システムへの拡張に対応するため,制御則の内部モデルに新たな制御パラメータを導入し,FRITに基づいた機械学習であるCMACを用いてその制御パラメータを学習させることにより,システムに非線形や不確かさが残る場合も適応的に,パラメータ調整を行う手法を提案した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの研究成果に基づき,非線形モデル予測制御を様々な形で拡張できた.強安定制御系の設計においては,制御対象の特性を多項式で表現する多項式法から同一次元オブザーバを用いた状態方程式表現による既約分解表現によりモデル予測制御を拡張することができた.さらに,問題となっていた定常偏差に対しても,改善のための条件を導出することが出来ており,さらに故障診断システムへの拡張が出来ており.さらに,FRITと機械学習での一つであるCMACを用いることで,不確かなシステムや非線形システムへの拡張も実現できており,おおむね順調に研究が進んでいると言える.さらに,これまでの研究成果として下記の4本の論文を投稿し採用されており,現在別に1本の論文を投稿準備中である. ・逸見知弘,村上智史,水本郁朗:内部モデルに制御パラメータをもつ適応型モデル予測制御における定常特性に基づいた制御パラメータの調整則,電気学会論文誌C(電子・情報・システム部門),Vol.138,No.5, pp.537-542. ・逸見知弘,秋山将貴, 山本 透:鉄棒選手の技能に基づいた劣駆動リンクロボットの運動制御,電気学会論文誌C(電子・情報・システム部門),Vol.138,No.5, pp.520-527. ・谷川豊章,逸見知弘,井上昭,矢納陽,吉永慎一:定常偏差の改善を目的とした強安定一般化予測制御,電気学会論文誌C(電子・情報・システム部門),Vol.138,No.5, pp.498-505. ・井上昭,逸見知弘,吉永慎一,矢納陽:FRITの評価関数の2次形式表現,電気学会論文誌C(電子・情報・システム部門),Vol.138,No.5, pp.589-590.
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今後の研究の推進方策 |
本年度3年の研究予定であったが,掲載予定の論文が5月で支払いがH30年度になることや,一部投稿が間に合わなかった論文があるため,1年間研究期間の延長を行った. 本年度は,これまでの研究成果であるモデル予測制御を非線形システムへの拡張に対応した,FRITに基づいたCMACを用いたパラメータ調整に関する研究の論文投稿,ならびに学会での発表を予定している.また,実験機器の不調により遅れていた実験での検証を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
投稿した論文掲載が5月で,投稿料支払いが次年度になった事,投稿中の論文がある事,一部研究成果の発表がH30年度に実施の学会で行う事.
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