研究課題/領域番号 |
15K21594
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研究機関 | 久留米工業高等専門学校 |
研究代表者 |
堺 研一郎 久留米工業高等専門学校, 制御情報工学科, 助教 (00634495)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 電気的スピン注入 |
研究実績の概要 |
交付申請書に記載した本研究の目的では,スピントロニクスの次世代応用例として挙げられているスピントランジスタやスピン流回路の基盤技術となる電気的スピン注入に,強磁性金属Fe3Si/半導体FeSi2人工格子で初めて挑戦すると記述した.この実現のためには,局所配置型スピンバルブ効果と非局所配置型スピンバルブ効果の成功が鍵になるわけであるが,交付申請書では,局所配置型および非局所配置型スピンバルブ素子を作製するための成膜装置を購入することが当該年度の主な研究遂行業務と位置付けていた.しかし,実際に購入業務に入った際,競争入札業務で当初想定していなかった仕様策定業務に追われタイムロスをしてしまったため,昨年度末になって,成膜装置の購入を断念せざるを得なかった.キャッチアッププランとして,競争入札業務を避けることが可能であるスピンバルブ効果測定装置のセットアップに切り替えることとした.この選択肢であれば,競争入札のための仕様策定業務や購買業務を大幅にカットすることが可能になるからである.現在は,他機関での装置借用により,スピンバルブ素子の創製と保磁力差の確認までできている.つまり,サンプルの作製がほぼ完了に近い状況であるため,当初の研究計画の予定変更による遅れはあるものの,電気的スピン注入を成功させるという大目標に対しては進捗が悪いわけではない.今後は,スピンバルブ効果測定装置のセットアップを中心に,当初の研究目標達成に取り組む.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
交付申請書を提出した際には,平成27年度の研究実施計画において,真空蒸着装置を購入することを主な研究遂行業務としていた.しかし,実際に動き始めた際に,本校のルールでは,160万円を超える買い物をする場合には,一般競争入札で購入しなければならず,仕様書を固める作業に想定を大幅に超える時間を費やしてしまった.そこで,本予算に応募した際に,研究計画調書の中で記述していた交付申請書とは別の研究遂行方針を選択することにした.電磁石コイル・ソースメータ・ナノボルトメータを中心とした磁場印加装置の購入に切り替え,スピンバルブ効果の測定装置をセットアップする.この選択肢であれば,入札業務の時間を全てカットできるため,現時点からでも十分に装置を購入し,実験を遂行することができるからである.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究方策としては,「現在までの進捗状況」の欄で記述した通り,本予算ではスピンバルブ効果測定装置のセットアップに取り組む.すでに,出身である九州大学吉武研究室のスパッタ装置を用いてスピンバルブ素子は創製しており,福岡工業大学のVSMを用いて保磁力差がついていることも確認済みである.つまり,研究全体としては順調に進んでいるため,本予算でセットアップさせていただくスピンバルブ効果測定装置が完成する頃には,サンプルの準備は完了しているため,研究目標である電気的スピン注入の実験には十分に取り組むことができる.
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次年度使用額が生じた理由 |
交付申請書を提出した時点では,本研究の目標である強磁性金属Fe3Si/半導体FeSi2人工格子において,電気的スピン注入を実現するために,スピンバルブ素子を創製するための成膜装置を購入することが平成27年度の主な研究活動としていた.しかし,実際に購入業務に入った際に,本校のルールでは競争入札で仕入れなければならなくなったことから,仕様策定業務に大幅な時間を費やしてしまい,研究期間の関係から,平成27年度末に競争入札を断念せざるを得なくなった.
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次年度使用額の使用計画 |
上記の「理由」に記述した研究計画の代わりに,本予算ではスピンバルブ効果測定装置のセットアップに変更することとした.この選択肢であれば,競争入札業務の時間がカットできるため,これからでも十分に装置を仕入れて,実験を遂行することができるためである.研究目的は「電気的スピン注入」から変更ない.
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