下水処理過程における薬剤耐性菌(ARB)と耐性遺伝子(ARGs)の挙動を明らかにするために,各処理槽におけるバンコマイシンに耐性従属栄養細菌と耐性遺伝子(vanA,vanB)の存在実態を調べた。塩素消毒水を含めたすべての下水および汚泥試料からバンコマイシン耐性従属栄養細菌および耐性遺伝子が検出された。バッチ式の塩素消毒実験においてバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)の不活化実験を行った。塩素消毒によってVREは効果的に不活化できるものの,vanA遺伝子は処理水中に残存することがわかった。以上の結果から,下水処理場はARBとARGsのプールとなり,水環境へ放流されている可能性が強く示唆された。
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