研究課題/領域番号 |
15K21608
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研究機関 | 公益財団法人微生物化学研究会 |
研究代表者 |
的場 一晃 公益財団法人微生物化学研究会, 微生物化学研究所, 研究員 (60613792)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | オートファジー / 膜タンパク質 |
研究実績の概要 |
マクロオートファジー(以後、オートファジー)は真核生物に広く保存された細胞内分解システムの一つであり、細胞内成分やオルガネラをオートファゴソームと呼ばれる二重膜(隔離膜)で隔離後、液胞/リソソームと融合し、内膜ごと分解する一連の過程を指す。これまでに酵母を用いた遺伝学的な解析から30 以上のAutophagy-related gene (Atg)が同定されている。このうち18 の主要なAtgタンパク質は 6つの機能グループ(Atg1キナーゼ複合体、PI3キナーゼ複合体、Atg2-Atg18複合体、Atg12-Atg5結合反応系、Atg8-PE結合反応系、Atg9)に分類され、協調して働くことでオートファゴソームを形成する。 本研究ではオートファジーに必須のタンパク質のうち、唯一の6回膜貫通型タンパク質Atg9の構造生物学的解析を行うことで、Atg9の分子機能や集積機構を明らかにすることを目的としている。当初、Hisタグ発現系を構築したが収量、純度が共に低く、結晶化するにあたり問題であった。そこで初年度はAtg9の可溶化条件およびアフィニティ精製法の再検討を行い、これまでよりも数倍可溶化効率が高く、構造純度の高いAtg9を精製できる系を確立した。この結果はAtg9の結晶化に向けて重要な工程である。現在、シッティングドロップ蒸気拡散法や脂質メソフェーズ法による結晶化条件の探索を試みている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の問題点を解決し、課題解決に向けて順調に推移している。
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今後の研究の推進方策 |
精製Atg9を用い、結晶化条件の探索を行う。 結晶化がうまくいかない場合は、様々な生物種のAtg9を試したり、結晶化に適したドメインを融合させることで結晶を得る。
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次年度使用額が生じた理由 |
発注していた商品の納期が遅れたため。
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次年度使用額の使用計画 |
タンパク質の発現、精製、結晶化に必要な試薬類(培地、界面活性剤、結晶化試薬)、ガラス器具、プラスチック類(チップ、結晶化プレート)、タンパク質精製カラムなどを購入予定である。
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