研究課題/領域番号 |
15K21609
|
研究機関 | 地方独立行政法人北海道立総合研究機構 |
研究代表者 |
田中 常喜 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 農業研究本部北見農業試験場, 研究主任 (80506593)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 育種方法 / イネ科牧草 / 最良線形不偏予測 / 収量性 |
研究実績の概要 |
(1)同一環境下での交配後代と親の形質調査 多交配後代60系統とその親60栄養系の評価試験を開始した。2回の刈払いと除草を行い、次年度の試験実施に十分なスタンドを確立した。 (2)DNAマーカーによる血縁関係情報の調査 145個体についてDNAマーカーによる親子鑑定を完了した。選抜個体の父親に偏りがあることが明らかとなった。その中には収量性に劣る親も含まれることから、DNAマーカーを用いた親子鑑定による父親の選抜により収量性改良の余地があることが示された。また、選抜個体の父親に偏りが生じた要因の一つとして、遺伝率の高い形質の表現型選抜や、選抜圧の高い表現型選抜自体が影響することが示された。 (3)BLUP法による遺伝情報(育種価と遺伝率)の算出 総当りの2形質モデルにより、収量性を予測する多形質モデルに用いる形質を抽出した。いずれの形質も収量性との関係(遺伝相関)は既知の情報と概ね一致した。推定された遺伝率は、既知の情報と概ね一致することから、チモシー育種での利用場面として、遺伝資源からの育種材料の選定や改良効果の検証に活用できると考えられた。栄養価関連形質を除く、収量性、越冬性、早春草勢、各番草の草勢、1番草茎数密度、2番草節間伸長茎割合、1番草草高を対象とした多形質モデルについて、マルコフ連鎖モンテカルロ法のひとつGibbs sampling法により育種価の推定を行った。検証については、従来法による算出結果が待たれる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
従来法による遺伝情報の算出に向けた試験は、予定通り進捗している。最終年に従来法による結果が得られる見込みである。BLUP法による解析は、概ね完了した。従来法とBLUP法の比較・検証が残されている。
|
今後の研究の推進方策 |
(1)同一環境下での交配後代と親の形質調査 越冬後の形質について調査し、遺伝情報を算出する。 (2)BLUP法のモデルの検証 従来法とBLUP法の比較により、チモシー育種での利用に最適なモデルを明らかにする。 (3)BLUP法による遺伝情報の算出 従来法とBLUP法の比較・検証の結果、必要に応じて、再解析を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
再確認のためのDNA解析点数は想定よりも少なく、残額が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
異動により勤務地が変わったため、圃場試験での作業および調査の旅費として未使用額を使用する予定である。
|