α線放出核種の汚染の検知に用いられるZnS(Ag)サーベイメータは、その検出器の大きさのため、測定する物の形状によって表面汚染の測定ができない。そこで狭隘部の測定が可能な可搬型の小型α線検出器を開発した。ZnS(Ag)シンチレータと4×4チャンネルのシリコン光電子増倍管を組み合わせ検出器を作成し、検出器サイズは26mm×26mmで厚みは12mmであった。検出器に柔軟な可動アームを取り付け狭隘部の測定を可能にした。開発した検出器はプルトニウム汚染の検知に有用なα線エネルギースペクトルとα線の2次元分布の同時測定が可能である。さらにImageJのプラグイン機能を用いることで、プルトニウム粒子の位置とその放射能が自動で評価可能である。評価した放射能は従来から用いられる放射能測定装置で評価したものを同等であった。現場ではラドン子孫核種が存在し、α線を放出するのでプルトニウムとの弁別が必要であるが、α線エネルギースペクトルを得ることでプルトニウムとラドン子孫核種の弁別ができることを確認した。開発した検出器を核燃料物質取扱施設の現場に持ち込み、実際の設備の狭隘部の直接測定が可能であることを確認した。従って開発した検出器は狭隘部のプルトニウム汚染の検知に有効であると考える。 本研究の成果を論文としてまとめ、放射線計測分野のジャーナルであるRadiation Measurementsに投稿し掲載された。 さらに、開発した検出器に細い角柱ライトガイドを用いることで、より狭小な領域の測定が可能となった。この検出器は、鼻腔内プルトニウム粒子の直接測定が可能な検出器として保健物理分野のジャーナルに投稿した。
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