増加する一途の前立腺癌において、特に予後不良・悪性度の高い前立腺癌に関する診断技術は生検以外に未だ開発されていない。また、生検はHeterogenuousな腫瘍のごく一部を採取するために診断精度に乏しいとの指摘もされており新たな前立腺癌診断技術の開発が求められている。我々は悪性度の高い様々な癌に発現するアミノ酸トランスポーターLAT1(L-type amino acid transporter1)を標的とした新規PET トレーサー[18F]CTP0006を既に開発している。本研究では、臨床的意義の高い悪性度の高い前立腺癌を対象とした新たな診断技術を開発するためLAT1 陽性前立腺癌モデル動物を用いたPETイメージング研究を行い、[18F]CTP0006 の悪性度および治療効果判定に関する有用性を検討し、将来、前立腺癌を対象とした臨床研究を行うための基礎データを得ることを目的とする。平成27年度は基礎検討として前立腺癌モデルラットにおける腫瘍内LAT1発現の検討のためウエスタンブロット法によるLAT1発現検出法の構築を行った。膜タンパク質であるLAT1の抽出には当初、様々な市販の膜タンパク抽出キットを検討したものの、抽出時に凝集が発生しウエスタンブロットのサンプルとして適さない状態であった。したがって、市販のキットの使用は不可能と結論づけ、古典的膜タンパク質抽出法であるIodixanol(Optiprep)による密度勾配遠心法による抽出の検討を行った結果、ウエスタンブロットのサンプルとして使用可能であった。そこで、LAT1陽性がん細胞株T24および同細胞株を移植した担がんマウス由来腫瘍組織を用いた検討を行い、両サンプルからもLAT1タンパク質発現レベルの検出が可能となった。現在、前立腺組織を用いた検出法の検討を進めており、プロトコールが確定後速やかに前立腺癌モデルラットTrapラットを用いたLAT1タンパク発現の検討に着手する予定である。
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