タンパク質の翻訳後修飾を操作する低分子は、生物学研究ツールとして有用であると共に創薬リード化合物として豊かな可能性を持つ。本研究では、塩基性残基の修飾に関与する以下の2種類の酵素について、酵素の反応機構理解と阻害剤開発を目標とした。ヒストンH3K27脱メチル化酵素KDM6Aについて構造解析と阻害剤開発を行い、in silicoスクリーニングにより得られた化合物のうち一つがH3K27メチル化に異常を持つグリオーマ細胞の増殖を抑制することを見出した。また、アルギニンラムノシル化酵素EarPについて、その標的タンパク質である翻訳因子EF-Pとの複合体の構造を決定し、反応機構の構造基盤を明らかにした。
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