インド東部に位置するビハール州では、州政府が地方版の新聞に大量の政府広告を掲載することによって、新聞社が広告収入に依存するような状況を意図的に作り出し、州政府に批判的な言論を封じていると現地のジャーナリストの間では言われている(一方、そうした事実は現地のジャーナリスト以外にはあまり知られていない)。 この点を実証的に検証するために、本研究プロジェクトでは、①現地のジャーナリスト、研究者、関連省庁(Information and Public Relations Department)の官僚への聞き取り調査、②州政府による広告やメディア戦略に関する政策と実際の運用についての調査、③州政府が広告を止めたと言われる事例が発生した前後で政府広告の掲載量がどのように変化したかを定量的に捉えるためのデータ収集、④州政府にとって都合が悪い問題が起こった際の新聞(パトナ版)の関連報道の内容分析、という4つの作業を行ってきた。 これまでに、②と③については作業がほぼ完了したので、最終年度には、①を引き続き行うとともに、④の作業を集中的に行った。具体的には、州政府にとって都合の悪い出来事として3つの事例を取り上げ、その問題が主要紙(英字紙2紙、ヒンディー語紙2紙)のパトナ版で報じられているかどうか、報じられている場合にはどのように報じられているかを調査し、該当記事の収集を行った。
|