研究課題
分子標的薬であるBCRシグナル経路阻害剤イブルチニブは、BTKを阻害しB 細胞リンパ腫に有効性が認められているが、BTKより下流に位置する遺伝子に異常がある ABCタイプびまん性大細胞型 B 細胞リンパ腫(ABC-DLBCL)では治療効果がみられないことがわかってきた。申請者らはこれまでに、BCRシグナル経路下流に位置するNF-κB シグナル経路因子TNFAIP3/A20遺伝子(以下 A20)の異常が、B 細胞リンパ腫 において高頻度に起こっていることを明らかにしてきた。本研究では、A20を含むNF-κBシグナル経路上の遺伝子変異がイブルチニブの有効性に影響を与えるかを明らかにするため、次世代シーケンシング(NGS)を用いてイブルチニブの治療効果と関係する遺伝子変異の同定を試みた。A20, BTK, MYD88, CARD11といったBCRシグナル経路下流の遺伝子とB細胞リンパ腫に関連する遺伝子から64遺伝子を選択し、これらの全エクソンについてターゲットシーケンスのためのパネルを作製した。ABC-DLBCL 68症例を対象に、Ion Proton システム(Thermo Fisher)を用いてターゲットシーケンスを行った。シーケンスデータ解析にはCLC Genomics Workbenchソフトウェア(QIAGEN)および、Ion Torrent サーバー(Thermo Fisher)を使用し、ABC-DLBCLに特異的な遺伝子異常の特定と遺伝子変異量を確認した。更に、遺伝子異常の情報と臨床的特徴からイブルチニブの治療効果と関連する遺伝子異常を同定する予定である。今後は、A20 などのBCRシグナル経路下流の遺伝子異常が、イブルチニブの有効性に影響を及ぼすかをin vitroでの薬剤感受性試験で検証していく予定である。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
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