研究課題
本研究では、(1)非ヒト小型霊長類コモン・マーモセットにおいて自閉症モデル動物を作出し、(2)空間走査技術に基づく行動測定技術を基に、(3)同調行動に着目した行動表現の異常を定量する事を目指した。結果、(1)臨床知見と強く関連づけられる胎生期バロプロ酸暴露法により自閉症モデルの作出に成功した。まず、薬剤が与える神経構造への評価を発生初期段階に行い、両側脳接続を担う神経構造異常を見出した。また発達追跡的に家族社会行動を測定した結果、離乳期に顕在化する家族性音声異常の検出に成功した。他の実験班が検討した成体期のより高次な社会性機能異常(Yasue 2015, 2018)と合わせ、本モデルの表現系と神経メカニズムを詳細に検討することで、社会性機能障害の理解へ繋がると考えられる。表現系の定量として、これまで手法開発が遅れていた全身運動の評価について、(2)空間走査技術を用いたマーモセットの自由運動を追跡するシステムの開発に成功した。複数台の深度カメラ情報を統合した仮想3次元空間における物理趣味レーションと、機械学習アルゴリズムを組み合わせる事により、非接触・非マーカの状況においても頭・胴・腰および顔の向きの測定に成功した。計画段階では、ヒトのモーションキャプチャシステムを調整して用いる計画であったが、撮影条件・機材・空間・解像度などの要因により独自開発に至った。この計測手法により、身体運動に関する種々のパラメータ時系列を高解像度で算出可能となり、(3)について自然言語処理の解析手法の応用における基礎を作った。
松本惇平博士(富山大学)が開発したオープンソースの実験用動物のモーショントラッキングソフトウェアを公開しているWebサイトのコンテンツ作製に協力した。
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Journal of Neuroscience Methods
巻: 286 ページ: 102~113
https://doi.org/10.1016/j.jneumeth.2017.04.016
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