研究課題
本研究は、独自に確立した初代合胞体栄養膜細胞安定培養系(pCTB)を用いて合胞体栄養膜細胞(STB)における母児免疫寛容・生体防御機構を解析しそのメカニズムを解明することが目的である。STBには自然免疫系受容体であるtoll like receptor (TLR)のうち、TLR3が特異的に発現していることを見いだした。合成二本鎖RNAであるPolyICを用いてこのTLR3を刺激することにより、pCTBには生体防御に関与する分子の発現と免疫寛容を誘導する分子双方の発現が増強することをmicroarray解析で明らかにした。さらにPolyIC刺激によりpCTBはapoptosisを起こすこと、このapoptosisはBcl-2 family蛋白により調節されていることを明らかにした。これらの現象は、STBがウイルス感染に対処するために備えられている生体防御機構であると考えられる。また、妊娠合併症の発症機序としてTLR3を介したSTBのapoptosisと胎盤障害が関与しうることを示している。in vitroでの結果がin vivoで妊娠合併症に関与するかを確認するため、妊娠マウスを用いた検討を実施し、妊娠中期のマウス(E10.5-12.5)にpolyICを静脈内投与すると、胎仔の体重が低下することを明らかにした。このモデルの解析をさらに進めることにより、胎盤障害が原因と考えられる妊娠合併症の病態の一端を明らかに出来る可能性がある。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件)
PLOS ONE
巻: in press ページ: in press
10.1371/journal.pone.0177994
産科と婦人科
巻: 84 ページ: 210-212