研究課題/領域番号 |
15K21657
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所 |
研究代表者 |
増渕 麻里耶 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, その他部局等, 研究員 (50569209)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 鉄製考古遺物 / アナトリア / 放射光 |
研究実績の概要 |
3年計画の第1年次にあたる本年度は、現地での資料調査、放射光施設(SPring-8)での予備実験、そして研究発表を通じた関連専門家との意見交換を行い、基礎データの蓄積と次年度以降の研究方針の明確化に努めた。 1) トルコでの資料調査 2015年10月15日~22日、トルコ共和国クルシェヒル県にある公益財団法人中近東文化センター附属アナトリア考古学研究所、および、アンカラ県にあるBritish Institute of Archaeology at Ankaraにて、アナトリア出土鉄製品および製鉄関連遺物に関する資料調査を実施した。 2) SPring-8での予備実験 2015年12月6日~11日、国立研究開発法人理化学研究所高輝度放射光施設SPring-8にて、岡山市立オリエント美術館学芸員四角隆二氏を実験責任者とするX線イメージングによる西アジア出土古代金属製品を対象とした実験に参加した。持参した標準試料を用いて本研究の予備実験を実施するとともに、ビームライン担当者と来年度実験に向けた打ち合わせを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成27年度中にSPring-8において、放射光を利用した予備実験を実現することができた。しかし、これは本研究の目的である化学組成分析ではなく、その前段階となる考古資料の内部構造を主とした状態観察のための測定であり、化学種の定量的分析は実験室系の分析装置でしか行えていない。このような理由から、やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度以降は、放射光蛍光X線分析による組成分析に着手し、微量組成をもとに鉄製品、半製品等の組成比較を行い、地域性の特定に努める。すでに得られている実験室系での組成分析結果とも比較しながら、本分析方法の利点を明確にしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度に実施した放射光実験は予備的測定であり、実験補助者を必要としなかった。そのため、当初予定していた実験補助者への謝金や旅費等が発生しなかったことが、次年度使用額が生じた理由としてあげられる。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度には、春と秋の2回、放射光施設での測定を実施し、前年度の未使用分をこの測定に係わる経費として効率的に利用する。
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