研究課題/領域番号 |
15K21670
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研究機関 | 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 |
研究代表者 |
木村 新太 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (30582556)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 空気連行モデル / 浮力プルーム |
研究実績の概要 |
本研究は液化水素の大気拡散簡易評価モデルの構築を念頭に、極低温の低密度ガスプルームの性状解析を行い、簡易評価モデルに必要な数理モデルの開発を行うことを目的としている。今年度は昨年度に続き、浮力プルームの基礎的知見を得ることを目的として、常温のヘリウムガスを用いた浮力プルーム実験および3次元数値流体力学シミュレーション(以降CFD計算と略す)を実施するとともに、簡易評価モデルに必要な要素の整理に注力した。 直径約100mmのノズルから発生させた浮力プルームのPIV計測の結果についてCFD計算との比較を行ったが、計算との一致が得られなかった。数値計算の境界条件の設定や、実験上の不備が理由として考えられた。 実験室スケールでの検討が進まなかったため、米国Sandia国立研究所で実施された直径1mノズルの大規模なヘリウムプルーム実験の結果とCFD計算および本研究で構築を目指している簡易評価モデルとの比較を実施した。その結果、CFD計算は比較的良好に実験を再現できることを確認した。一方、簡易評価モデルについて採用している空気連行モデルでは、浮力が卓越するノズル近傍の空気連行量を正しく見積もることができないため、実験を再現することができなかったと判断した。 最新の空気連行モデルに関する論文に定義されているプルームリチャードソン数の式に対して、本研究のブシネスク近似を用いない簡易評価モデルと整合するよう数式を変形し、CFD計算の結果より空気連行係数とプルームリチャードソン数の算出を試みた結果、空気連行係数はプルームリチャードソン数と相関があることが明らかとなり、既存の空気連行モデルの対象範囲外においてもプルームリチャードソン数を用いた空気連行モデルの関係を示唆する結果となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
PIV計測において、設備の都合上、ヘリウムプルームに巻き込まれる周囲流体にトレーサーをシーディングすることが困難であったため、速度場データとして不完全な計測となり、CFD計算との検証ができなかった。一方、既存の大規模な実験に関するデータとCFD計算との比較から、浮力プルームに適用可能な空気連行係数モデルに影響するパラメータ(プルームリチャードソン数)の抽出を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
追加のシーディングジェネレータを導入し、周囲流体も含めた速度場計測を実施する。加えて、最新の論文で公表されているブシネスク近似を用いた場合のプルームリチャードソン数を含む空気連行係数モデルを参考に、ブシネスク近似を用いない支配方程式を出発点とした空気連行係数モデルを構築する。
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次年度使用額が生じた理由 |
ヘリウムプルームの計測実験が予定のとおりに進まなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
ヘリウムプルームの計測実験に必要となる、ヘリウムガス、配管類等消耗品に使用する。
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