研究実績の概要 |
平成27年度における研究実施計画では(1)電気定数の定量化手法の開発, (2)実効診断領域の定量化手法の開発, (3)電気定数測定値の信頼水準の評価手法の構築, の3つの到達目標が挙げらる. これら3つの到達目標に対する成果について以下に記述する. 電気定数の定量化手法については理論モデルと集中定数回路モデル等の複数の手法間を実験的評価により比較し, 精度・効率性に関して, 包括的な検討が実施されたことで, 特に集中定数回路モデルの適用限界が明らかにされた. 実効診断領域の定量化手法として電磁界解析法に基づいた数値シミュレーションを用いた. 本研究では電磁界解析手法の高速化についても検討を実施したことで, 実効診断領域の評価において, 効率的に推定するための計算プロトコルを構築した. 電磁界解析手法に基づいたシミュレーションによる評価技術を非侵襲センサの設計に応用し, 平成28年度における課題の一部に着手した. 更に数値シミュレーションと電気定数の定量化手法の比較についても実施したことで, 両手法の妥当性が確認され, より信頼性の高い評価が可能となった. 電気定数測定値の信頼水準の評価手法についても測定不確かさのガイドラインに基づき, 構築した. 平成27年度における研究成果について, 電子情報通信学会で発表し, 電気定数測定の受託試験を実施している企業や電気定数測定プローブの開発研究を実施している大学機関から反響が得られた. 現在, 当該成果について研究論文を執筆中であり, 英国物理学会への投稿を予定している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究実績の概要に記述の通り, 平成27年度における研究実施計画における3つの到達目標についてそれぞれ達成された. 更に, 本研究では以下の成果が挙げられた. (1)平成28年度における到達目標である, 非侵襲センサの設計に使用する評価システムについても構築し, 設計の一部に着手した. (2)実効診断領域の定量化手法の開発では効率的に評価するためのシステムを構築した. また, 同様の技術が非侵襲センサの設計に使用するシステムに用いられており, 平成28年度における調査研究を効率よく実施することが可能となった. (3)数値シミュレーションと電気定数の定量化手法の比較についても実施したことで, 提案したシステムの妥当性について明らかにした. 以上の理由から, 当初の計画の到達目標を達成し, 更に追加の成果が得られたことから, 当初の計画以上に進展しているものと考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である平成28年度は当初の計画に基づき, 非侵襲診断システムを構築するための検討を行う. 具体的には, 以下の手順に沿って研究計画を推進する. (1)非侵襲センサの設計・試作・評価を行う. (2) 開発した非侵襲センサを用いた非侵襲診断システムを構築する. (3) 非侵襲診断システムの検証. 更に, 平成27年度までに得られた成果についての論文化及び, 学会等で研究成果について発表を実施する.
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次年度使用額の使用計画 |
非侵襲センサの部品(消耗品)及び試作のためのに使用する. また, 診断システムの検証のための動物組織の調達および検証用の装置の調達に使用する. 医療応用に関する国際会議(欧国)での研究成果の発表1件と国内における研究成果の発表及び, 情報収集のために使用する. また, 外国雑誌への論文投稿のための英文校閲や学会における予稿集のための予算として使用する.
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