円形スピーカアレイと直線スピーカアレイを組み合わせ,スピーカの近くでは音が聞こえ,離れると聞こえなくなるスポット再生方式(ICASSP 2015)の残響環境での性能を評価し,有効性を示した.また,この方式を球形スピーカアレイとアレイ中心に設置したスピーカの方式へと拡張させ,スピーカアレイの内部でのみ音が聞こえる方式を提案し,こちらも残響環境においても有効であることを示した(J. Inf. Hiding Multimed. Signal Process.). しかし,上記の方式は,複雑なスピーカアレイが必要であることと,聞こえるエリアの距離の制御が難しいこと,また,円や球の半径に依存した禁止周波数問題がある.これらを同時に解決するために,中空・剛球の球状スピーカアレイを用いた方式を提案した.また,このフィルタは,マイクロホンの近くの音のみを収録し,離れた音は収録しない接話マイクロホンアレイにも直接使えることを数式の導入により示した(音講論2018春,ジャーナル論文執筆中). 通常,球形マイクロホンアレイで収録された音場は球形スピーカアレイを用いて再生されるが,特にスピーカアレイは一度配置してしまうと形を変えることが難しく,これはスポット再生にも該当する.この問題を解決するために,球形マイクロホンアレイで収録された放射音場を直線スピーカアレイで再生するための解析的音場変換を提案した.これにより,直線スピーカアレイを用いて,球面調和スペクトルで記述された複雑な指向性の音場の再生も可能となった(WASPAA 2017,音講論2017秋). さらに,2016年度に提案した,円形2重マイクロホン・スピーカアレイを用いた音場テレポーテーション(音講論2016秋)を従来の多点制御方式と比較し,有効性を示した(J. Acoust. Soc. Am.投稿中).
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