| 研究課題/領域番号 |
15K21678
|
|---|
| 研究機関 | 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 |
|---|
研究代表者 |
小田 寛 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, HQ部門 追跡ネットワーク技術センター, 研究開発員 (90714329)
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
| キーワード | 地球近傍小惑星 / 多色測光観測 / 宇宙風化 / 可視光 / 近赤外 |
|---|
| 研究実績の概要 |
天体同士の衝突破壊で生成された小天体は太陽系初期の情報を保持しているが、宇宙風化によって表面物質が変性し太陽光反射スペクトルのスペクトル型も変化する。従って観測されるスペクトル型から太陽系初期の情報を推定する際には宇宙風化の影響を考慮する必要がある。先行研究によるとスペクトル型がO型の小惑星が宇宙風化によりS型に変化するという説がある。この他にC型が宇宙風化してB型へ変化するという説もある。またメインベルトに比べて太陽に近い地球近傍の小惑星ほど宇宙風化が進行していることが期待される。これらの説が正しければ、メインベルトに比べて地球近傍ほどS型やB型が多いことが予想される。これらを明らかにするためにはメインベルトと地球近傍の小惑星のスペクトル型の個数分布を比較する必要があるが、地球近傍小惑星のスペクトル型に関する観測例は多くない。地球近傍小天体を重点的に観測しスペクトル型を調べることで、宇宙風化によって太陽系初期からスペクトル型がどのように変化するのかを解明するとなる。本研究では研究代表者の所属機関(JAXA)が所有する光学観測施設の広視野小口径望遠鏡に近赤外CCDカメラを導入し、可視光-近赤外領域の多色測光観測を実施し、地球近傍小天体のスペクトル型の判別を行う。特に我々が注目するスペクトル型(地球近傍に多く分布されると期待されるS型とO型)の判別には近赤外領域の観測が必要不可欠である。
当該年度は残念ながら所属部署の本務で多忙となり道外科研費研究の時間を確保できなかったため、補助事業期間の延長を申請し受理された。
|
| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究代表者は所属機関においてSSA(宇宙状況把握)システムプロジェクトチーム配属となり、光学望遠鏡システム整備を担当しているが、担当システムの設計作業の遅れおよび追加作業が発生し、メーカー調整、詳細設計作業、契約作業、各種審査会等に時間を取られ、本研究課題遂行のための十分な研究時間が確保することができなかった。その結果、当該年度中に実施予定であった小惑星の多色測光観測およびデータ解析を実施できなかった。
|
| 今後の研究の推進方策 |
研究代表者の所属機関の本務の担当システムのメーカー詳細設計は完了し、製作・試験フェイズに移行したため、本年度は本研究課題の研究時間を確保できる。
昨年度までに実施予定であった地球近傍小惑星の多色測光観測およびデータ解析を実施する。現在、発見・軌道決定されている小天体は約40万個(軌道の不確定性が大きいものを含めると70万個)程度あるが、そのうちスペクトル分類がされているものは2割程度である。そこで軌道は既知だがスペクトル分類がされていない地球近傍小天体に対して集中的に多色測光観測を実施し、スペクトル型、宇宙風化の度合いを測定する。
|
| 次年度使用額が生じた理由 |
昨年度には観測実施のための観測地の訪問・滞在、観測データを蓄積するための記憶媒体の購入、研究成果の学会発表等を予定しており、そのための費用を確保していたが、所属部署の業務のため本研究課題の研究時間が確保できず、予算を執行できなかった。
今年度は昨年度に実施予定であった観測実施のための観測地の訪問・滞在、観測データ蓄積記憶媒体の購入、学会発表等に加え、研究成果を論文等にまとめ、論文投稿を行い、それらに伴う支出により予算を執行する
|
