研究課題/領域番号 |
15K21681
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研究機関 | 東京都立小児総合医療センター(臨床研究部) |
研究代表者 |
宮井 健太郎 東京都立小児総合医療センター(臨床研究部), その他部局等, その他 (00749004)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | GNAS / DNAメチル化 / 進行性骨異形成症 |
研究実績の概要 |
本研究の最終目的はPOH症例におけるDNAメチル化異常の関与を明らかにすることである。 進行性骨異形成症(POH)はGsαタンパクをコードするGNAS遺伝子機能喪失変異の父性遺伝が原因とされる。このGNAS遺伝子機能喪失変異の父性遺伝は偽性偽性副甲状腺機能低下症(PPHP)の原因としても同定されている。臨床的に両者ともにホルモン抵抗性は認めないが、PPHPには低身長、短指といったオルブライト徴候(AHO)を認める一方、POHにはAHOはなく深部組織での異所性骨化のみが認められる特徴があるとされてきた。GNAS遺伝子機能喪失変異の母性遺伝はAHOにホルモン抵抗性を併せ持った偽性副甲状腺機能低下症Ⅰa(PHPⅠa)の原因であるが、近年POHの患者でもAHOやホルモン抵抗性のオーバーラップを認める例が報告され、このような症例は従来の遺伝学的分類のみで説明することが困難である。 一方、GNAS遺伝子はインプリンティング遺伝子でもあり、実際AHOがなくホルモン抵抗性のみを認める偽性副甲状腺機能低下症Ⅰb(PHPⅠb)では母由来アレル上のGNAS遺伝子上流クラスターにDNAメチル化異常が認められ、疾患の原因とされている。 そこで、POHにおけるPPHPとの表現型の差異、あるいはAHOやホルモン抵抗性のオーバーラップに着目して、本研究ではPOH症例における、DNAメチル化異常の関与の有無を検討することを目的とした。H27年についてはPOH症例のGNAS遺伝子変異同定、その両親由来の同定を試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床的に進行性骨異形成症の診断に至った4家系を集積した。全家系において末梢血リンパ球を用いたGNAS遺伝子の変異を同定した。このうちAHO徴候のないPOH1家系では父由来アレル上の変異であることが判明したが、残り3家系についてはSNP解析ではアレルの同定には至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
アレルの同定のためマイクロサテライト解析等を検討している。また爪検体を用いたGNASメチル化解析が進行中である。手術摘出標本などを用いたメチル化解析も検討中である
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次年度使用額が生じた理由 |
当初外注検査を予定していたMLPAを2015年度途中から自前で検査をすることができるようになり、委託費用を圧縮できたため
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次年度使用額の使用計画 |
DNAメチル化解析をMLPAならびにメチル化特異的PCRを用いて検討する。またサンプルとして爪など血液以外の検体を予定している。そのためのDNA抽出キットや、MLPA試薬、機器消耗品に使用予定である。
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