研究課題/領域番号 |
15K21684
|
研究機関 | 神奈川県産業技術センター |
研究代表者 |
黒内 正仁 神奈川県産業技術センター, その他部局等, 主任研究員 (10452187)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 窒化物半導体 / 窒化アルミニウムガリウム / オーミック電極 / 電子線リソグラフィ |
研究実績の概要 |
AlGaN深紫外発光ダイオードは短波長化に伴い、AlGaNのAl組成は高いものが必要となる。高Al組成AlGaNのn型オーミック電極の作製する上で、N極性の面を利用することで窒素空孔が生じやすくすることができ、それによってオーミック電極の特性を改善することが狙える。通常Ⅲ族面が使われる窒化物半導体結晶面に対してN極性の面を形成するためには垂直な壁面をもつ3次元構造を形成する必要があるので、その形成プロセスについて検討した。 垂直な壁面の形成においてN極性の面の形成密度を高くできる電子線リソグラフィがオーミック電極の特性の改善する上で有利と考えられるため、電子線リソグラフィによるラインアンドスペースのパターン形成の方法について検討した。その結果、ハーフピッチ100nm~300nmのレジストパターンの形成条件を確認した。形成したパターンは断面SEM観察を行った結果、垂直に近い壁面が形成されていて、結晶表面に対して垂直な面を形成するのに適した形状であることを確認した。その後のドライエッチングプロセスではパターン間間隔が変化することが考えられるが、それに対応するパターンの形成条件についても準備した。また、同等の膜厚でラインアンドスペースの限界サイズを調べた結果、ハーフピッチ40nmを限度に形成できることが確認でき、上記のハーフピッチ100nm~300nmのパターンはプロセス実験を行う上では十分に余裕をもった条件であることを確認した。また、形成したパターンの荒さがオーミック電極の特性に影響する可能性が考えられたため、ラインエッジラフネスの大きさを見積もる手法について検討した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究の進捗として、一部は遂行できているが遅れが出ている状況である。 N極性の面を形成するために垂直な壁面の形成に関してはレジストプロセスについてはその作製条件は確認した。その後、塩素ガスを用いたプラズマエッチングプロセスやイオンプレーティング装置による金属膜の形成をしてオーミック電極の特性を評価する計画であったが、故障のトラブルなどで実施が難しく、それに関係する実験の進捗が遅れている状況である。
|
今後の研究の推進方策 |
トラブルによって実施が難しい塩素ガスを用いてプラズマエッチング加工についてはアルゴンを用いた加工装置を利用するなどの検討を考えている。また金属膜の加工についてはイオンプレーティング装置の代わりに加熱抵抗蒸着やスパッタ法などを代替の方法として利用することを考えている。また作製したAlGaN試料の組成評価についてはより効率的にマッピングの情報が得られる元素分析装置(EDS)を搭載した電子顕微鏡(FE-SEM)が当センターに導入されたため、今後のAlGaN試料の組成評価はEDSを主体にしたいと考えている。 今後の研究計画は垂直な壁面をもつ構造について集中して行うことにして、電極構造にN極性面を持たせた構造についてその効果が確認できる実験を行うようにしたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
AlGaNウェハやプロセス用品について、当初1年目に購入する予定であったが、手持ちのもので検討できたことと、AlGaN試料とプロセス用品は経時劣化の可能性が懸念されたため、次年度に購入するように変更した。
|
次年度使用額の使用計画 |
計画調書に記載されているものに加え、AlGaN試料やプロセス用品を購入する予定である。
|