研究課題/領域番号 |
15K21689
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研究機関 | 静岡県工業技術研究所 |
研究代表者 |
菊池 圭祐 静岡県工業技術研究所, 工芸科, 主任研究員 (90517369)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | バイオマス / 活性炭 / 電気二重層キャパシタ / 原料改質 / 水蒸気賦活 / 触媒 |
研究実績の概要 |
平成27年度に実施したコーヒー滓の堆肥化では、コーヒー滓活性炭の比表面積の向上はできなかった。平成28年度は、代わりの方法として、コーヒー滓の酸処理を行った。酸処理により、炭化収率は向上し、より長い時間の水蒸気賦活が施せるようになった。長時間の水蒸気賦活により、酸処理したコーヒー滓活性炭は、未処理のものより比表面積が向上した。また、酸処理したコーヒー滓活性炭の細孔構造は、未処理のものより大きな細孔(メソ・マクロ孔)が著しく発達した。比表面積の向上により電気二重層キャパシタの容量が向上することが期待でき、大きな細孔が発達したことで大電流使用での容量維持率の向上や抵抗値の低減が期待された。 得られた知見を用いて、実際に活性炭を大量に作製し、電気二重層キャパシタ性能を評価した。しかし、得られた酸処理コーヒー滓活性炭の比表面積はあまり向上していなかった。これは、用いたガスの純度が影響している可能性があった。細孔構造は知見通りの結果が得られた。イオン液体を用いて電気二重層キャパシタ性能を評価したところ、酸処理コーヒー滓活性炭は、低い電流密度では未処理コーヒー滓活性炭と同程度の容量であったが、高い電流密度もしくは低温度環境になると未処理コーヒー滓活性炭より大きな容量を示した。すなわち、酸処理コーヒー滓活性炭は、未処理コーヒー滓活性炭よりも電流や温度に対する容量維持率が高いと言えた。これは、酸処理コーヒー滓活性炭に形成される大きな細孔が寄与しているものと考えられる。 一方、触媒を用いた水蒸気賦活に関しては、コーヒー滓にニッケルを含浸し、水蒸気賦活を行い、活性炭を作製した。今後はエックス線回折測定などにより結晶化度の評価を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コーヒー滓の堆肥化が期待していた効果を生じなかったため、新たな手法である酸処理を模索した。これにより、当初予定していた研究計画に遅れが生じ、研究期間の延長を行った。
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今後の研究の推進方策 |
触媒を添加して水蒸気賦活を行ったコーヒー滓活性炭について、エックス線回折測定などにより、結晶化度の評価を行う。活性炭中の結晶化が進めば、活性炭自体の電気抵抗が低くなるため、電気二重層キャパシタの抵抗値低減につながることが期待される。 また、本研究を通して得られた知見に関して、学会発表や論文投稿などを行い、成果普及を推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究に遅れが生じたことで、平成28年度に使用予定であった学会発表や論文投稿費用並びに消耗品費が次年度使用となったこと。
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次年度使用額の使用計画 |
残りの研究に使用する消耗品購入費、学会参加費(国際学会含む)、論文投稿費として使用する予定である。
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