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平成29年度の研究では、ニッケルを含浸したコーヒー滓から作製したコーヒー滓活性炭と、ニッケルを含浸せずに作製したコーヒー滓活性炭を比較して、エックス線回折測定により黒鉛質の結晶性を評価した。結果としては、ニッケルの含浸による結晶の発達は確認されなかった。一方、コーヒー滓に含浸したニッケルは、炭化-賦活の工程を経てもニッケル単体として存在していることがわかった。
研究全体を通して、エネルギー密度向上につながるコーヒー滓活性炭の比表面積の増加に関しては、コーヒー滓に酸処理を施すことで可能となった。
コーヒー滓に酸処理を施すと、炭化収率が増大し、賦活工程において水蒸気を作用させる時間を長くすることができ、その結果、比表面積の増加が達成された。コーヒー滓に含浸する酸の種類としては、ベンゼンスルホン酸が最も比表面積の増加が顕著であった。
パワー密度向上につながるコーヒー滓活性炭の黒鉛質化に関しては、ニッケルをコーヒー滓に含浸することで結晶の発達を促すことを試みたが、上記のとおり顕著な結晶の発達は確認できなかった。またコーヒー滓にニッケルを含浸することで得られる付随的な効果として、賦活時間の短縮を期待したが、これに関しても顕著な違いは見られなかった。
コーヒー滓活性炭の比表面積増加に関する新しい知見については、学術雑誌および国内外の学会発表によって成果普及を行った。今後は、コーヒー滓活性炭の比表面積をより増加させる最適な酸処理条件について研究を行っていく。
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