本年度は、トランスファーロッドを修理し、4探針プローバ装置で、4探針(PtIrプローブ)を用いて金や白金などの貴金属線を用いて電気抵抗率の測定を行った。しかしながら、4探針では抵抗が低すぎるためか、測定値にばらつきが大きく、文献値と大きく異なるデータが得られた。 一方、3探針で測定すると、貴金属線の抵抗率が比較的安定に測定することができことがわかった。また、得られた結果は、文献値と類似する結果であった。この結果、4探針すべてを用いる必要はなく3探針のみで測定できることがわかった。(ただし、今回は貴金属で測定を行ったため、抵抗の大きな材料であれば3探針よりも4探針で測定する必要がある可能性も考えられる。) 化合物薄膜を4探針プローバ装置で4探針(PtIrプローブ)を用いて測定を行った。その結果、超高真空中で測定を行うと化合物薄膜が還元されてしまうため、膜が壊れてしまい、同一サンプルで複数回測定が難しい。そのため、ターゲットとする材料に掃引する電位を決める必要がある。 測定用試料の作製については、これまで合成してきたCu2ZnSnS4(CZTS)だけでなく、組成の異なるCu2ZnSnSe4(CZTSe)ナノ粒子の合成することに成功した。得られたCZTSeナノ粒子をMoコートガラス基板上に塗布し、Se雰囲気内で焼成をした結果、結晶粒が1μm程度のCZTSe薄膜を作製することができ、CZTSe薄膜も薄膜化できることがわかった。
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