研究課題
本研究は、ホログラフィック3Dディスプレイにおいて重要な課題の一つである狭い視域を拡大させ、十分な運動視差の実現により臨場感の高い立体表示システムを構築するものである。具体的には、凸型放物面鏡の幾何学的特性を活用し、ほぼ完全な視域を実現させる。本年度は、昨年度に実施した原理検証や開発した高速回折計算法を基に、極めて広範囲な視域の実証実験と再生像サイズの拡大を行った。また、回折計算についても、ホログラムのステレオグラム化により劇的な高速化を実現した。以下に、それぞれの内容について記載する。凸型放物面鏡を用いた本システムの視域については、原理と同程度の十分な視域(水平方向:360°、垂直:90°以上)を実験的に検証できた。しかし、再生像のサイズが小さく、観察するには、拡大光学系が必須であった。そこで、フーリエ変換光学系の導入と、画素数の増加、画素ピッチの縮小などをバランスよく調整し、像サイズを拡大した結果、1mm弱の立体像を表示することができ、十分ではないものの肉眼で目視することに成功した。回折計算法について、さらなる高速化を目指し、ホログラムのステレオグラム化を行った。これは、ホログラム面の区画分割により、局所的な光軸を定義することで、近軸近似を成立させる手法である。近軸近似が成り立てば、高速フーリエ変換を用いた高速回折計算が可能となる。本手法を適用した結果、表示する像にも依存するが、数10~500倍以上の高速化を達成した。また、上記研究結果について、招待講演を含む学会発表や論文投稿を行った。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)
Proc. SPIE 10233, Holography: Advances and Modern Trends V
巻: 10233 ページ: -
10.1117/12.2264926
Applied Optics
巻: 56 ページ: 5775-5780
10.1364/AO.56.005775