研究課題
前年度、コア粒子を調製するため、オメガ3脂肪酸と同じ不飽和脂肪酸で、オメガ6脂肪酸のリノール酸と、硫酸基を持つカラギーナンを用いて、リノール酸/κ-カラギーナン/キトサンコアシェル粒子を調製した。しかし、遊離脂肪酸を用いることはニュートリションデリバリーの観点からは保存性に劣ることが想定され、アマニ油を原料に用いることとした。アマニ油は脂肪酸をトリグリセリドの形態で含有する油脂であり、不飽和脂肪酸を豊富に含む(90%程度)。しかも、不飽和脂肪酸のうちの50%以上はオメガ3脂肪酸のα-リノレン酸である。前年度と同様の方法で粒子の調製を行い、GCMSにより脂肪酸組成を分析したところ、α-リノレン酸が60%程度を占め、他の不飽和脂肪酸、飽和脂肪酸も含め、ほぼ原料アマニ油の脂肪酸組成と同様であること、調製時に添加したアマニ油のほとんどが複合されたことを確認した。また、元素分析において窒素原子と硫黄原子の存在が確認され、アマニ油/カラギーナン/キトサンコアシェル粒子が調製されたと考えられた。調製した粒子の保存性について調べるために40 ℃で4週間の保管を行ない、脂肪酸組成を分析した。結果、原料アマニ油ではα-リノレン酸が50%程度減少し、逆に、オレイン酸などの他の脂肪酸が増加した。調製した粒子では、α-リノレン酸の減少は10%程度に留まり、他の脂肪酸の増加もわずかであった。アマニ油をキトサンで被覆することで、脂肪酸の酸化を防ぎ、保存性を保つことが確認された。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)
Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry
巻: 84 ページ: 1265~1273
10.1080/09168451.2020.1723402