研究課題/領域番号 |
15K21704
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研究機関 | 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
中嶋 智史 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 精神薬理研究部, 流動研究員 (80745208)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 温度 / 表情認知 / 顔記憶 / 環境 |
研究実績の概要 |
平成28年度から所属機関が変更になり、実験実施場所の変更を余儀なくされたため、異なる実験環境において、表情認知および顔記憶に及ぼす環境温度の影響を検討するための環境構築を行う必要があった。実験実施場所の変更に伴い,新規の実験実施場所の選定と,倫理審査の手続きを行った。加えて,平成27年度に実施した実験において使用していた温湿度を完全に統制できる装置の使用が困難となったため、通常の心理実験室において温湿度を一定に保つために必要な装置の選定やセッティングを行い、環境内の温湿度を複数回、数時間にわたってモニタリングした。また、複数回にわたり予備的検討を実施し、環境内の温湿度をある程度一定に保った状態で実験の実施が可能であることが明らかとなった。したがって,次年度には予定していた実験を速やかに実施可能な状態にすることができた。また,平成27年度に実施した実験の結果から,「寒さ」と「恐怖」感情が関連している可能性が示唆されたが,恐怖表情については記憶実験を実施するのに十分な刺激が足らない状況であったことから,前回とは異なる表情刺激セットを取得し,実験に用いるのに適切な刺激の選定を行った。この刺激を用いて,今後の温度環境についての実験を実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成28年度は所属機関の変更に伴い、実験の実施環境を変える必要が生じたことから、新たな実施場所の選定および使用の許可を取るための交渉、新規の所属機関への倫理申請書類の提出および倫理審査、新規の実験実施場所での温度環境のセッティングなど、実験の実施のための様々な手続きを行う必要性があった。そのため、予定していた実験の本試験の実施については、29年度に持ち越しとなった。ただし、本年度予備的検討を複数回行い新規の実験環境において実験の実施が可能であることが判明したため、29年度には本実験の実施が速やかに行える見通しである。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度中に予備的検討まで実施できたことから、平成29年度には本試験の実施が可能な状態となっている。加えて,平成29年度は、実験の実施に協力してくれる数名の研究協力者を得ることができる見通しであること、また所属機関の移動に伴い,新たな実験環境を得ることができる見通しであることから、平成28,29年度に実施する予定であった実験を速やかに実施することが可能であると考えられる。また,日本心理学会,社会心理学会等において研究成果の報告を行う予定であり,これまで本科研費プロジェクトで得られた知見について議論することで,新たな視点を得て今後の研究に役立てていくことができると考えられる。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度には実験の参加者への謝金を計上していたが,所属機関の異動に伴い,倫理審査や実験環境の整備等に時間がかかり本試験の実施が困難であったために実験協力者への謝金を使用しなかったこと,および,複数の学会等において研究成果の報告を行う予定であったが,家庭的な事情により,学会等に赴くことが困難であったことから,次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
実験環境が整ったことから,次年度には複数回の実験を実施できるため,実験参加者への謝金として計上する予定である。また,当該年度において,学会等における研究成果の報告があまりできなかったことから,次年度には学会に参加して研究成果を報告するための旅費として計上する予定である。
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