研究課題
これまでに我々は、アルツハイマー病において発現が増加することが報告されている神経特異的膜貫通型ユビキチンリガーゼRNF182に注目し、その機能解明を目指してきた。昨年度までの研究で、RNF182は主にライソゾームに局在し、結合タンパク質としてライソゾームタンパク質LAPTM4Aを同定した。LAPTMファミリーは、オートファジー経路に関連することが報告されており、RNF182もオートファジー経路への関与を示唆する結果を得ていた。本年度は、LAPTM4Aに対するRNF182のユビキチン化の意義について検討を行った。LAPTM4Aのユビキチン化部位(リジン残基)を解析した結果、C末端にある224番目のリジンはライソゾームへのLAPTM4Aの移行に重要であるが、RNF182は移行に関与しないことが明らかとなった。LAPTM4Bはアミノ酸トランスポーターLAT1と結合し、LAT1を形質膜からライソゾームにリクルートさせ、その結果、mTORC1を活性化させることが報告されている。そこで、LAPTMファミリーとLAT1の結合に対するRNF182の関与を検討したところ、RNF182によってLAT1とLAPTM4AおよびLAPTM4Bの結合が増強されることが判明した。さらにその結合には、LAPTM4AのN末端にある7番目のリジンが重要であった。これらのことから、RNF182はLAPTMファミリーのユビキチン化を介してアミノ酸トランスポーターのライソゾームへの移行を促進し、mTORC1を活性化させることでオートファジーを抑制している可能性が示唆された。今後は、RNF182ノックアウトマウスを用いて、神経変性疾患におけるRNF182の役割を明らかにしていきたい。
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