研究実績の概要 |
昨年度に引き続き人工バテクリオファージの創出に必要なプラットフォームの改良に取り組んだ。現時点でほぼ完成しており、プロトコールを最適化している。研究グループ内で再現性を確認できており、オリジナルプラットフォーム(Cell Systems, 1(3) : 187-196, 2015)と比べて大幅な作業時間の短縮、作業の簡便化、ハイスループット化を可能にした。現在、本プラットフォーム技術についての知的財産化を検討している。また、本技術を用いた人工ファージの創出にも取り組んだ。最初に、上記参考論文において創出した人工ファージを、本プラットフォームにおいても再現できることを確認した。続いて、当初の研究計画に従って人工ファージの創出に取り組んだ。これと合わせて、人工ファージの実用化を見据えた生物学的封じ込め技術の確立にも取り組んだ。実際に、複数の封じ込め可能な人工ファージを創出した。in vitroでの機能性評価で、このファージは本来の宿主特異性を維持したまま効率的に殺菌できることが判明した。また、動物モデルを用いたファージセラピーでは野生型ファージと同等の治療効果を示した。in vitro及びin vivoで、調べた限りにおいて100%の生物学的封じ込めができていることを確認している。本技術は人工ファージと遺伝子組換えファージはもちろん、使用目的によっては天然ファージの利用においても有用だと考えられる。本技術については特許出願した(特願2018-244789)。引き続き本技術を様々なファージに応用しながら、研究計画に従って作製した新しい人工ファージにも適用していく予定である。
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