研究課題/領域番号 |
15K21770
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
安藤 弘樹 岐阜大学, 医学系研究科, 特任准教授
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研究期間 (年度) |
2017 – 2020
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キーワード | バクテリオファージ / 人工バクテリオファージ / 合成生物学 / 薬剤耐性菌 / 細菌叢 |
研究実績の概要 |
昨年度から作製を進めている生物学的封じ込め可能な人工ファージ(ここではBSP(Bio-contained Synthetic Phage)と呼ぶ)について、作製方法の改良に注力した。ここに詳細を記すことは控えるが、これまでは、封じ込めを可能にするために特定のファージ遺伝子(一遺伝子)を標的にしていた。作製方法に柔軟性を与えるため、また、現段階でも100%の封じ込めに成功してはいるが、増殖能を再獲得してしまう確率をさらに下げるために、複数の改変を同時に施すことを試みた。最初に、大腸菌に感染するモデルファージを対象にした。改変ゲノムを設計し、これを作るために必要な複数のDNA断片を用意した。in vitroもしくは酵母内でこれらDNA断片を連結し適切な宿主細菌に導入することでファージを起動させた。このファージは機能的であり、生物学的封じ込めも成功した。昨年度に作製したBSPと同様、一回限りの感染、一回限りの殺菌を可能にした。続いて、大腸菌以外の細菌に感染するファージを対象にして、同様のアプローチが可能か検証した。大腸菌モデルファージと同様、複数の改変を同時に施し、ファージを起動することに成功した。このファージも機能的であり、100%の封じ込めに成功した。来年度は、これらBSPの精査を進めながら、動物を使ったファージセラピーを実施する予定である。また、細菌叢編集についても試みる予定である。これらの研究成果をまとめ、論文として発表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね計画通りに進めることができ、期待していた結果を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究で作製した人工ファージ等を使用し、細菌感染症治療(ファージセラピー)と細菌叢編集を試みる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度に研究室の引っ越しとセットアップに数ヶ月間を要し、研究開始が遅れてしまった。これに伴い、研究員の雇用も計画通りに進まなかった。遅れが生じた分の研究に必要となる研究費と人件費を繰り越してきた。来年度は主に物品費として使用する予定である。
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