研究課題
遺伝性疾患ファンコニ貧血の原因蛋白と家族性乳癌卵巣癌原因蛋白BRCA1, BRCA2は共同してDNA損傷修復を制御するFanconi anemia(FA)-BRCA pathwayを形成する。我々はこのpathwayを制御する新因子として脱ユビキチン化酵素USP28を同定し、またFANCIのリン酸化・脱リン酸化がこのpathwayの制御の鍵を握る現象であることを発見した。本研究はこれらの因子の解析を目的とし、FA-BRCA pathwayと腫瘍の抗がん剤感受性耐性との関わりの解明も目的とした。USP28が主に細胞周期G1期に核内fociを形成すること、またこの反応はリン酸化酵素ATM依存性だがATR非依存性であることを明らかにした。またUSP28の機能解析を進めるためにCRISPR-CAS9システムを用いてUSP28のknockout cellを作成し、複数のクローンを樹立し解析した。その結果、USP28 knockout細胞を長期培養し続けるとUSP28 knockdown細胞の表現型とは一致しない表現型に変化していくことが判明した。これは長期のUSP28 knockoutでは機能的な補償がおきることを意味する。またUSP28の変異体を多数作成し、機能解析を行った。さらにこのプロジェクトから派生して、悪性腫瘍の一種である滑膜肉腫におけるFA-BRCA pathwayの機能異常とPARP阻害剤感受性の関連も解析した。
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Molecular Cell
巻: 75 号: 3 ページ: 419-420
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Cell Death Discov
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